キューアンドエー株式会社
代表取締役社長 金川 裕一

早稲田大学卒。1982年(株)横河電機製作所(現:横河電機)入社。オフィス機器営業部に配属。また新事業企画室で約20社の新会社設立に関わる。一方、労働組合で書記長なども歴任。
営業企画室を経て、1996年、企業内ベンチャー制度にて、横河マルチメディア(株)設立、代表取締役社長に就任。現在事業統合、商号変更を経た、キューアンドエー株式会社の代表取締役社長を務める。
企業発ベンチャー協議会理事。
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前回、新規事業を成功させる一番のポイントは「営業」であると述べました。「トップ=最高の営業マン」が理想であると。
当社においては、それとは別に「一人の営業マンの奇跡」という逸話があります。
当社は2001年、サポートサービス事業に会社を再編成させたのですが、その後も2年ほど苦しい時代が続きました。その時代には、私が自ら営業のトップになって営業組織の陣頭指揮をとりました。
そんな営業組織の中に、それまで営業経験の全くない営業マンが1人配属されたのです。
その営業マンは、もともとサポートサービスが大好きで、性格的にも温厚な人間でした。彼には会社が苦しい状況の中、営業組織に人員をシフトした時に、やむなくその職に就いてもらいました。
営業はまったくの素人、しかも異動と同時に社長から
「最低1日2件以上のお客様を訪問しろ」
と言われ、手当たり次第営業に出かけいきました。そんな彼がたまたま訪問した先が、大手回線会社のとある支店でした。
光回線の拡販をしたいその大手回線会社は、当社に対してかなり厳しい条件ではありましたが、それまでに経験したことのない件数の注文をオファーしてきました。しかも受注するならば、サービス開始までの期間は1週間。到底、会社のことを理解している営業マンであればお断りしています。
しかし彼は
「とにかくやります、やらせてください」
と先方に頼み込み注文を取ってしまいました。
そんな彼を持っていたのは社内の叱責です。
「何でこんな価格でこんな物量で、しかも1週間の納期をのんだんだ!」
当初は皆から総攻撃です。しかしお客さまには迷惑をかけられないので、現場のメンバーたちだけでなく、管理部門も総出で対応していきました。
平日は皆午前さま、休日も返上してお客さまに対応しました。結果、お客さまの満足も得られてさらに事業は拡大し、最終的には当社への出資へとつながっていきました。
そしてその営業マンの受注を境に、会社は黒字基調に変わっていったのです。残念ながら、彼はその後退職をするのですが、私はこの奇跡を事あるごとに社内で話し、継承しています。会社にとって何が大事か、新規事業を進めていく上での、営業の重要性を伝えていかなければなりません。
形にはまった、セオリーどおりの「成功」は、極めて僅かに過ぎません。大きな壁に立ち向かい、皆で汗を流し、知恵を絞り、努力していく延長線上に「成功」という輝かしい2文字があるのです。
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