愛知淑徳大学
ビジネス学部・研究科
真田 幸光 教授

1957年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、東京銀行入行。1998年愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション研究所・助教授。2004年4月より現職。
著書に「アジアの国、日本」など多数。また、NHKクローズアップ現代などTV・ラジオ出演、論文・雑誌寄稿、講演をマルチにこなす、現代の辻説法師。
信条は、最小の効果を挙げる為に最大の努力を惜しまぬ人間たれ。
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先日、埼玉県を訪問した際に、自動車関連ものづくり企業の経営者の方が、
「日産自動車の経営衰退とルノーの資本参加の中で、日本の自動車産業は様々なものを失ったが、その中でも、とても大きな損失は、協力企業群のサポート体制の喪失にあると考えている。
カリスマ経営者だかなんだか分からないが、何でも切り捨てて一時的な利益を上げることに注力した日産自動車は、一時的には経営ののりしろの皺を関係、協力企業に押し付け、自分だけは合理化をしたかに見せ掛けているが、しかし、その最も大切であった友人、即ち、協力企業との信頼関係に基づいたビジネスでのご縁の有効システムを事実上、断ち切ってしまった。
これでは、真のものづくり大国の根幹は形成されない。」
と語っていらっしゃいました。
昨今の在庫調整、生産調整の動きから受注を受けられず、売上高が急減、固定費を賄うためにキャッシュフローが悪化している中小企業の動向を見るにつけ、厳しいながらも、相対的にはゆとりのある大企業がいち早く在庫調整、生産調整に動いていることを見ていると、もう少し緩やかに、もう少し協力企業の立場も考えてあげて欲しいと私は思うのですが、米国型資本主義が日本に浸透してきているせいでしょうか?私には理由は分かりませんが、弱肉強食の論理の中で、強い者の意向が反映され、
「この苦境を皆で乗り切っていこう。
全員がベクトルを一にして乗り切れば、きっと未来が開ける。」
といった前向きなメッセージがあまり大企業からは聞こえてこないような気がします。
しかし、私は今こそ、ついこの間まで日本にあった、
「ご縁を大切にし、築き上げた信頼関係に基づいたものづくりの相互協力体制を再構築すべきである。
そして、皆でこの苦境を乗り切るべきである。
よって、大企業もその負担を負いつつ、更に官や学にもその一部を負担してもらうよう、大企業からも働きかけをしながら、文字通り、挙国一致体制でこの苦境を乗り切るような体制を構築すべきである。」
と思います。
もしも私が大手メーカーの経営者であったら、自社を存続させることは当たり前ですが、それと同時に以上のようなことをしながら、皆が生き残れる体制作りに励みたいと思います。
ただ、経営者の方々の中には、
「今の大手メーカーの経営者は皆、サラリーマン経営者でそんなことはしないであろう。」
と仰る方も少なくありません。
その通りかもしれません。
そうした意味でも、創業者ファミリーが経営の中核にいるトヨタ自動車やパナソニックがこれから更にどのような動きを示してくるのか、私は注目したいと思っています。
皆様方は如何、お考えになられますか?
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