愛知淑徳大学
ビジネス学部・研究科
真田 幸光 教授

1957年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、東京銀行入行。1998年愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション研究所・助教授。2004年4月より現職。
著書に「アジアの国、日本」など多数。また、NHKクローズアップ現代などTV・ラジオ出演、論文・雑誌寄稿、講演をマルチにこなす、現代の辻説法師。
信条は、最小の効果を挙げる為に最大の努力を惜しまぬ人間たれ。
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私はこのコラムで、出来る限り元気の出るお話をご紹介しており、各地で開催される講演会などでもそうしたお話を申し上げているのでありますが、しかし時として、
「あなた(=真田)は元気だからいい。
しかし、実態はもっと厳しい。」
というお声もお聞きします。
また、私が特に気にしておりますことは、
「日本国民の意識が勝ち組と負け組といった形で二分化され、日本自体に大きな亀裂が生じるのではないか?」
ということであり、国民皆が様々な声に耳を傾ける必要もあるのではないかとも考えています。
ところで、今週も名古屋、四日市、岐阜、知多、埼玉、東京、そして先週の会津若松と回らせて戴く中、元気の出るお話を伺いました。
そのいくつかを簡単にご紹介させて戴きたいと思います。
一つ目のお話。
元気のよい自動車ディーラー経営者の方のお話です。
「この不況期の今、お客様は低価格車帯の自動車を志向している。
そこで、店頭の自動車展示は全て、この低価格者帯に絞り、セールスもそこを重点攻撃してみた。
また、原則として一車種・一価格として販売、更にお客様には、この不況下で自動車を購入するという消費行為を行うことにより、日本経済を支えて戴いているとの実感を味わってもらえるようなセールスを展開、お客様の皆さんにも喜んで戴いている。」
と胸を張られ、景気減速となった今も売り上げを着実に伸ばされているそうです。
二つ目。
これは苦学の末、観光ビジネスに従事、その後、独立した方のお話です。
独立後、観光ビジネスだけでは、ビジネスのポートフォリオが弱いと感じられたこの経営者の方は、
「冠婚葬祭の送迎バス、特に葬祭の送迎バス運営のビジネスの必要性を強く感じられた。」
そうであり、規制分野であったこのビジネスの許可を取るために、その必要性を監督官庁に対して四年間にも亘って説得され、認可を取られると共に、バス会社に対してそうしたビジネスを持ちかけたそうなのですが、
「葬祭関連のお仕事など縁起が悪い。」
と断られ、自ら、バスとその運転手を自社で保有、確保しこのビジネスに参入され成功されたそうです。
しかし、当初はこうしたアイデアがあってもそれを具現化する資金が一切ありません。
特に、認可をした監督官庁は、
「認可した企業がすぐに倒産しては困るので、先ずは開業当初暫くの間は現金を最低5,000万円、預金として保有しなさい。」
との条件をつけてきて大変困ったそうです。
銀行も当時、まだまだベンチャー企業であったこの会社にはお金を貸してくれません。
その時に、サラリーマンだった頃にお客様であったお金持ちの方が、
「私はお金があるがアイデアはない。
もしよいアイデアが有ったら、持ってきなさい。
投資や融資をしてあげる。」
と言っていたことを思い出し、本件のアイデアと共に資金貸与の依頼をすると、その資金を貸してくださり、何とかビジネスをスタートすることに漕ぎ着けました。
次に問題なのは、バスを買うお金が無いことです。
そこに、こうした認可取得をしたということを聞きつけたバス製造会社数社が、この会社にバスを売りに来たので、一番よい条件を示してくれたバス製造会社に対して、
「営業が軌道に乗る三ヵ月後からバス購入代金の支払いを開始、分割して支払う。」
との条件を飲んでもらうと共に、当面はバスの所有権の50%はそのまま、そのバス製造会社に渡し、信用してもらい、こうしたことを経て、何とかバス確保に漕ぎ着けました。
そしてこのビジネスは最終的には当たったそうですが、きちんと軌道に乗るまでは、社長自ら月給を12万円に抑えるといった姿勢を債権者や多くの関係者に示して、ビジネスに最も大切な信用を勝ち得たそうです。
資金無しでもビジネスをスタートし、成功された事例です。
そして三つ目。
これは南会津町長のお話です。
とにかく町民のためにと心を裂く町長の姿は素晴らしく、志と気合を感じる方なのですが、町の行政として様々なことをなさっている中、特に私が感じたのは、次のお話です。
「わが町は自然環境もよく、人情の厚い町。
シックハウス症候群で苦しむ人が増えているという話を聞いた我々は、町のインフラをこうした人々のために先ず提供した。
そうして、町に住み、馴染んで健康が回復されてきたシックハウス症候群の人々に対して、一度、わが町で農業でもして見ませんかとお誘いすると、皆喜んで、町の農業に参画を始められた。
すると、高齢社会であった町のおじいちゃん、おばあちゃんが、多くの若い人たちに農業を教えながら、共に耕作をしながら、みるみる元気になっていく、そしてそうした中で、こうした高齢の方々が昔を思い出しつつ、地域の特産品を作り始め、またこれが新たな観光資源となりつつある。」
と町自体が好循環で拡大していることを語っていらっしゃいました。
まだまだたくさん、元気の出るお話はあります。
これらのお話の共通するところは、
「皆が喜び、皆が幸せになる。」
ということをベースに、ちょっとした気配りからアイデアを加えていくことにあるのではないかと思います。
きっと、私たちにもできると思います、志と気合を以って、この苦難を皆で乗り越えていこうとする気概さえあれば!!
今後もまた、新しい元気の出るお話に触れてきたいと思います。
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