プロフィール

愛知淑徳大学
ビジネス学部・研究科
真田 幸光 教授
愛知淑徳大学ビジネス学部 真田幸光 教授
1957年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、東京銀行入行。1998年愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション研究所・助教授。2004年4月より現職。
著書に「アジアの国、日本」など多数。また、NHKクローズアップ現代などTV・ラジオ出演、論文・雑誌寄稿、講演をマルチにこなす、現代の辻説法師。
信条は、最小の効果を挙げる為に最大の努力を惜しまぬ人間たれ。

過去のコラム
その他のコンテンツ

 

真田幸光教授の「世相を斬る!」
現代の辻説法師、愛知淑徳大学ビジネス学部教授の切れ味鋭いコラム

閉塞感から生まれる脱力感

2009年11月10日
生き生きと

今週も名古屋と東京を基点に飯田、足助、原ノ町、いわきと回って参りました。

福島県では例えば、相馬市や南相馬市、新地町など、素晴らしい工業団地を有し、この厳しい時代にも新たに設備拡大を求める企業の誘致に努められたりしています。

また相馬市では、私の大好物な海産物の生産に努められ、特に地域の名産である「穴子」の関連食品の生産・販売に従事される素晴らしい企業経営者の方にもお会いし、文字通り、

「生き生きと頑張っていらっしゃる姿」

を拝見しました。

日本の強さ

一方また、今回は浪江日本ブレーキ様を訪問させて戴きましたが、

「整然とした工場の運営システム」

を持ち、厳しい世の中にあっても、そうでなくても、

「淡々と、丹精込めて、きちんとしたものづくりビジネスを展開する」

という企業を拝見し、改めて、日本の強さというものを体感致しました。

浪江日本ブレーキの特徴

こちらの企業の最大の特徴は、中部産業連合会のマネージメント・コンサルタントをきちんと対価を支払って受け、

「5S・VM(Visual Management=見える化経営)活動」

を展開されていることです。

・ものづくりの基本は5Sである。
・表示のないものは全て不要物である。
・忙しいから出来ないとは絶対に言わない!
・異常・ムダ・問題点の見えるVMボードにする。
・目標管理の報告、発表、打ち合わせはVMボードの前で行う。
・コストダウン活動の結果は全て金額で評価する。
・指摘箇所は三日以内に改善する。

という七か条を掲げ、また、

・見えなければ管理できない。
・見えなければ共通認識できない。
・見えなければ情報共有できない。
・見えなければ問題意識が共有できない。

という見える化の必要性を認識して、会社全体が文字通り、ベクトルを一にして頑張っていらっしゃる、こうした結果、この厳しい時期に、米国・フォード向け販売の立ち上がりなどもあって、この10月の売上高は史上最高を記録したそうであります。

本当に素晴らしいお話です。

東北電力の後押し

そして、こうした企業や自治体を後押しする、「地域に目指す経営」を標榜する東北電力様の底辺でのしっかりとした活動を拝見、今後、こうした地域はじわじわと拡大していくのではないかと感じました。

脱力感

さて、しかし、こうした中、今回も皆様方から、景気の不透明感が続く中、

「自力再生が必要なことはよく分かっている。
永田町などを当てにはしないと考えて何とかしなければならないとも思っている。
しかし、なんとも言えぬ脱力感があり、どうしたらよいのか分からない。」

という声もあちこちで伺いました。

とにかく、今は売上高を拡大しなければならない時期、コストの削減には限界があり、何よりも、

「縮小均衡」

を前提とするため、景気低迷がこれほどまで、長引くと、

「脱力感」

が出てくるのも仕方がないことかもしれません。

閉塞感から生まれる不安

また、内需拡大、或いは域内経済の循環拡大といった、「成長戦略を持つこと」の必要性が謳われていても、

「雇用環境が悪化、年金問題などもあり将来にも不安がある中、国内の消費意欲はなかなか拡大せず、一向に売り上げ拡大には転じない。
また、国内、域内だけで資金を循環させているだけでは経済全体のパイは拡大しない。」

との声もかなり多く聞かれます。

更には、

「高速道路の1,000円化も子供手当ても、返済猶予といった政策も、良い面、悪い面、表裏一体で本当にどの程度の効果が上がるのかまだまだ未知数である。」

との声も出てきています。

こうした声を聞くにつけ、国内にはまだまだ不安がかなり強く残っており、

「閉塞感の状態からの本格的な脱却」

には程遠いようであります。

外貨を稼ぐ構造の必要性

こうした中、私は常に思うのですが、日本はやはり食糧もエネルギー源も多くは海外に依存している国であり、最終的には、

「外貨をきちんと安定的に稼げる経済構造、産業構造を維持していかなければならない。」

と確信しており、世界が何と評価しようと、とにかく、一旦は外貨を獲得する、その上で、稼いだ外貨をどのように使うかは、その時々の情勢で考える、という余裕を持った産業構造を持つ社会作りを目指さなければならないと考えています。

そして、中小企業の支援についても、こうした視点から、きちんと外貨を稼ぐことが出来る中小企業、但し、これは単に輸出が出来る企業ということだけではなく、輸出関連企業の部品製造をしている企業といった間接的な企業や技術輸出が出来る企業、輸出を促進し得るサービス・金融系企業なども含め、こうした外貨獲得可能企業、農林畜産漁業関連企業や個人等を先ずは「優先的」に生き残らせる政策対応が必要不可欠ではないかと私は考えています。

負の連鎖

日本の多くの中小企業や個人は、閉塞感の中、強い脱力感を感じています。

早くにこの状況から脱しないと、更に縮小均衡、負の連鎖に至るのではないかという、眼に見えない不安感も募らせて、今週は帰宅致しました。

皆様方はどのようにお感じになっていらっしゃいますか?

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