愛知淑徳大学
ビジネス学部・研究科
真田 幸光 教授

1957年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、東京銀行入行。1998年愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション研究所・助教授。2004年4月より現職。
著書に「アジアの国、日本」など多数。また、NHKクローズアップ現代などTV・ラジオ出演、論文・雑誌寄稿、講演をマルチにこなす、現代の辻説法師。
信条は、最小の効果を挙げる為に最大の努力を惜しまぬ人間たれ。
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私は世界的な相対比較で見た場合、一般的には、
「日本人は丹精込めた仕事をする。」
ということが特徴として挙げられると考えており、また、
「この丹精込めた仕事振りが、マニュアル化できない技術を日本人自身に身に付けさせ、更に、丹精込めて仕事をしようとするから、マニュアル化できない技術をマニュアル化しようとする努力をさせ、これが更なる技術力向上に繋がり、日本のものづくり産業(=ここでは、私は第二次産業だけでなく、農業なども含めた第一次産業も指しています。)の根幹を支え、これが、
『日本の国際競争力の源の大きな一つ』
となっている。」
と考えています。
ところで、こうした中、最近、日本の街角でしばしば感じることなのですが、
「日本人の多くは“がさつ”になっているのではないか?」
ということであります。
“がさつ”とは、言動が粗暴で“ぞんざい”な様、“ぞんざい”とはものごとを粗略にし、なげやり、いいかげんにすることを指します。
そして、最近は街角で見ていても、よく言われることですが、電車の中でものを食べ、更にその食べた食べかすを放置したまま電車を降りる、それを注意すると、最悪の場合、憎まれ口を聞く、それどころか、時には注意した人を突き飛ばす(私はそうした場面を一度見たことがあり、そのがさつな人を更に諫めた経験があります。)といった、傍若無人振りを遺憾なく発揮する?!人もいます。
ここで、念のために申し上げますが、こうしたがさつな人は必ずしも若者だけではなく、私の世代も含めた多くの世代にわたっており、よって、もう、
「日本人のがさつ度進行指数は日本全体で見て、急ピッチとなっている。」
と私は考えています。
この大型連休中も残念ながら、こうしたがさつな人々を多く見ました。
電車の中で大声でお話しする人、待合室で食べ物をちらかして放置する人、お風呂場で後ろにいる人を気にせずシャワーを撒き散らす人、レストランでがつがつとものをほおばる人、がさつな人々が本当に増えましたが、こうした人々が増え、更に仕事をしていくと、がさつに仕事をするであろう、すると、丹精込めて仕事をするなどといったことはしないのではないか、ひいては「日本人のよい特徴」がそがれ、それは日本の強さ、良さを更に失わせる原因になるのではないかと懸念しているのが今の私であります。
そもそも丹精込めてとは、高度成長の大量生産、大量消費型の経済社会にはあまりそぐわなかったのかもしれませんが、日本人はそれでも、丹精を込めつつ、ビジネスの猛スピードに追いつき、マス・ビジネスにも対応できるビジネス社会をこれまでは頑張って構築してきたと思います。
しかし、そのビジネスのスピードが更に早まり、ものづくりを中心にライバル国の追い上げも急となり、日本は、丹精込めつつ、大量生産大量消費型の経済社会を維持するということが難しくなってきているものと思われます。
そして、こうした中、日本自身もがさつになりつつ、特に大企業を中心に、大量生産大量消費型のビジネスに結果的には向かっているようにも感じられますが、私はこれは決してよい方向とは考えていません。
むしろ、日本人の丹精込めた心を大切にして、少量(もちろん、可能な限り大量が良い)多品種、高品質、高利潤のビジネスをし、一人当たりの利益、利益率を高める、また、その利益は可能な限り、日本人・日本企業が日本にいながらにして、海外から外貨(≒基軸通貨、今であれば米ドル)で受け取る、そしてまた丹精込めて働いた人、一人一人がたくさんの報酬を受け、その報酬を以って消費をし、内需も維持していくことが大切であると考えており、そのためには「一騎当千」の人材たくさん輩出することが不可欠、その一騎当千の人は丹精込めた仕事が出来る人であり、がさつであってはならない、これが私の持論であります。
丹精込めた仕事はそもそも時間がかかることですし、表面的にだけ見れば、決して効率がよいとは言えません。
しかし、それが長い目で見れば、日本の強さ、良さの拡大に繋がるのではないかと私は考えています。
そしてまた、「ゆとり」教育も本来、こうした視点から使われ、丹精込めて、心にゆとりのある倫理観の高い人材を育成していくために構築されたシステムであったはずなのに、その運用を誤り、今や悪者扱い、崩壊していこうとしています。
街角の「がさつさ」を眺めながら、私は、日本の先行きに更に大きな不安を抱えています。
皆様方は如何ご覧になられますか?
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