愛知淑徳大学
ビジネス学部・研究科
真田 幸光 教授

1957年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、東京銀行入行。1998年愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション研究所・助教授。2004年4月より現職。
著書に「アジアの国、日本」など多数。また、NHKクローズアップ現代などTV・ラジオ出演、論文・雑誌寄稿、講演をマルチにこなす、現代の辻説法師。
信条は、最小の効果を挙げる為に最大の努力を惜しまぬ人間たれ。
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先日は上杉財団の理事会に出席するために米沢を訪問、そしてその後、山形の温泉旅館に宿泊しました。
今日はそこでのお話であります。
この旅館の様々な特徴を見てみると、
(1)開湯900年を誇る名湯であり、温泉の質が実にまろやかである。
(2)様々な地域の貴重な建築物を集め、歴史的に質の高い建物を生き返らせて利用している。
(3)かつて、茶屋であった頃に、朝、振舞っていた「お餅」を朝食のメインメニューとし、宿泊客も参加可能な餅つきから始まって、7種類以上の様々な餅料理が堪能できる。
(4)朝食ではまた、温泉の湯で作ったおかゆが戴ける。
といった点が挙げられますが、私は、何よりもこの宿の「主人」に強い魅力を感じました。
先代からの言いつけを守り、朝は何処で仕事をしていても、この餅つき大会から始まる宿泊客との朝食会には基本的には参加するとおっしゃり、この日も元気がいい姿と声を私たちに披露してくれましたが、何よりも、その
「面構え」
が素晴らしい!!
決して、ハンサムとは申しませんが(ご主人、ごめんなさい。)、
「お客様に堪能していただくため、米は私が自ら作付けして、丹精込めて育てたものである。」
「地産地消を旨とし地元の生産農家と提携して美味しい食材で美味しい食事をお出ししている。」
(因みに、このご主人の家は代々庄屋さんの家であり、周囲の方々とは長年の関係に基づいた深い信頼関係があり、それをベースに、周辺農家の方々との提携に尽力されています。)
「餅つきの臼は20年以上も乾燥させた木をくり抜いて特注で作った臼である。」
「(朝食会場となる)大部屋に措いてあるおきな太鼓は米沢牛の一枚皮で作った太鼓であり、一叩きで寿命が5年延びる。」
といったお話を、朴訥とした語り口から、宿泊客たちに話しかけるその様子には、
「お客様を思う心に対する自信」
と共に、
「自らが真心を込めて、これまで生きてきたことに対する自信」
がみなぎり、この面構えになっているのだと強く感じさせるものでありました。
また、夕食の際に実はとてもうるさい宿泊客がいたことから、私が、一言、軽く授業員の若い女性に対して、
「うるさかったねぇ。」
と話したのですが、この若い従業員は、それをすぐに主人に伝えたらしく、翌朝、宿からきちんとお詫びがあるなど、きめ細かな従業員に対する指導もなされていることを感じさせました。
豪華な、また美味しいお食事を出す旅館、女将の素晴らしさを誇る旅館など、各地に多々あるかと思いますが、この宿の主人、
「男のきっぷを感じさせる、また強い面構えを持つ」
ご主人であり、久しぶりで、
「いい男」
と接しました。
そしてまた、
「やはり人間、崇高な志を持ち、気合を以って生きるべきであり、そうした生き方をしていけば、面構えも素敵になるのだなあ。」
と改めて感じました。
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