愛知淑徳大学
ビジネス学部・研究科
真田 幸光 教授

1957年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、東京銀行入行。1998年愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション研究所・助教授。2004年4月より現職。
著書に「アジアの国、日本」など多数。また、NHKクローズアップ現代などTV・ラジオ出演、論文・雑誌寄稿、講演をマルチにこなす、現代の辻説法師。
信条は、最小の効果を挙げる為に最大の努力を惜しまぬ人間たれ。
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最近、各地を回っていて、しばしば耳にするお話の中に、
「中国本土企業に買収された。」
というお話があります。
企業だけでなく、知人が所有する山林を中国本土企業に売却したという話も耳にするようになっています。
(中国本土人の日本の山林買収の目的としては、一つは酸素を排出する山林の特性を利用し、近い将来拡大するであろう環境関連「排出権取引」のメリットを感じていること、そして遠い将来に関しては「取水権」の確保を期待してのものであると思われます。)
私がこれまで調査しているところによると、こうした中国本土企業の対日投資の特徴としては、
(1)はげたかファンドなどと言われぬよう、目立たぬところでの投資を開始している。特に力のある中堅・中小企業をターゲットとしている。こうした日本人の外資アレルギーを少しでも回避していく姿勢を示している。
(2)更に、そうした日本の中堅・中小企業が困っている点を事前に調査し、その困っているところに手が届くようにアプローチをしている。
ということにあります。
これを具体的に言うと、
●非上場の中堅・中小企業で経営に困難をきたしている企業を、中国本土独自の調査のみならず、日本の金融機関や調査機関を上手に利用して調べる。
そして例えば、
●経営陣の中枢を日本人に残したまま、よく見られるケースとしては、会長は中国人とし、社長は日本人のままとするといった形で、出資をし、日本企業にフレッシュマネーを与えるというメリットをつける。実は将来も含めた配当金収入を先ずは期待、ゆくゆくは、日本のみならず、海外市場での上場といったメリットを中国本土側は期待している。
●その日本企業の製品を大消費地・中国本土で販売し、資金回収し、日本企業の売上高、収益拡大しに貢献してあげるというメリットをつける。実はこれにより、日本企業の実力を利用した中国本土での販売拡大、商圏拡大のきっかけを作るというメリットを中国本土側は期待している。
●日本企業が必要としている原材料や半製品といった中国本土の商品を、その日本企業に提供してあげるというメリットをつける。実はこれにより、日本国内販売のきっかけをつくるというメリットを中国本土側は期待している。
●社員を採用することが難しければ、中国本土から中国人を社員として送ってあげるというメリットをつける。実はここで、中国本土側は日本企業から技術を学ぶという利益を得る。
といったことが挙げられるかと思います。
こうした中、日本の帝国データバンクが発表した「中国本土企業による日本企業への出資実態調査」を見ると、
「出資ケースが611社になっている。
これは5年前(233社)に比べ2.62倍となっている。
特に、年商1億円以上10億円未満の中小企業への出資が目立ち、全体の半数近くを占めている。
日本の企業は中国本土企業との提携や資本参加により、成長市場である中国本土での事業拡大の足がかりになると期待を寄せる半面、日本の技術やノウハウ、ブランド流出を通じて日本の競争力が低下すると危惧する声も目だっている。
経営不振の日本企業の支援先として中国本土企業の存在感がさらに増してくることが予想される。」
とコメントされています。
如何でしょうか?
私は中国本土企業による対日投資をただ単に脅威であると恐れてはいけないと思います。
上述したような、中国本土側も思いを知りつつ、その中国本土といかに共存できるかを思い、それが出来ると判断される経営者の方はむしろ、積極的に「中国本土メリット」を取りに行くべきであると考えています。
そして、もちろん、その場合には慎重に知恵と勇気と決断力を持って、中国本土企業を迎え入れなくてはなりません。
国際化時代には様々なケースを想定した経営が必要であることを、こうしたことからも、最近は強く感じています。
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