The 対談

「欲張りになりましょう」女性のキャリアアップを考える対談

「欲張りになりましょう」女性のキャリアアップを考える対談

現在、翻訳や通訳、またそれに付随する異文化コミュニケーションビジネスを中心に事業を展開する株式会社エイアンドピープル 代表取締役社長 浅井満知子氏と、当社事業開発本部マーケティング部長(広報・秘書部門)安達あけるが、女性のキャリアアップについて、語り合いました。

◆掲載日: 2014年 1月31日

安達 起業後から現在に至るまで翻訳事業を中心に仕事をされていますが、今までの経歴をお話しいただけますか?

浅井 一生働きたいという思いで、国家資格を取り、歯科技工士を6年間経験しました。朝7時から終電まで、与えられた仕事が終わらないと帰れない毎日でした。このままでは仕事をしながら家庭を持つことは難しいかもしれないと思い、IT企業へ転職しました。営業部に配属になり、ソフトウエアやテクニカルな問い合わせに回答できるよう猛勉強しました。その後、機会をいただき翻訳会社へ転職しました。そこでは翻訳ソフトの販促活動がおこなわれていない状況で、これまでの経験を活かし会社に貢献したいと思いで自ら志願して販促活動をし、売上に繋げることができました。それまで培った人脈のおかげで半年もしないうちにトップの成績を上げることができ、人脈の大切さや売上に繋がる過程を目の当たりにして、営業の醍醐味を経験させていただきました。

安達 なぜ良い成績を上げてきた翻訳会社を辞めて、自分で起業しようと思ったのですか?

浅井 成果主義でしたから売り上げれば売り上げただけ認めていただいておりましたが、その分とてもハードでした。また、ある時から自分の売上成績が維持できる要因が、所属する翻訳会社の看板のおかげなのか、私個人の力なのか、気になり始めてしまいました。自分の力を試してみたいと思い起業を考えるようになりましたが、起業には大きなリスクも伴います。自問自答しながら考え続け、3年経過しても気持ちが変わることはありませんでしたので思い切って起業しました。あと、私は仕事をしていく上でお客さまと長い関係を築くことを大切にしています。また、一生仕事をしたい。その夢を叶えられる環境を整えたかったのも起業の1つの要因です。

安達 起業されて主軸とした事業は翻訳ですよね?

浅井 エイアンドピープルを設立し、翻訳事業を主軸としてスタートしました。設立して1年間もつ会社の割合は10%と言われています。私はその10%に残れるかわかりませんでしたし、お世話になった前職の翻訳会社にも流儀違反だと思ったことで、設立後の1年間は新規顧客の開拓営業に励みました。起業当時は大変でしたが経理・財務のことなどそれまで触れなかったことを学びました。お客さまのご要望や専門性を整えて翻訳物を納めることで徐々にリピートが増え、定期的業務もいただけるようになり売上に繋がっていきました。

安達 そのほかに化粧品事業も展開されていますね?

浅井 自分でも化粧品の事業を始めるとはまったく考えていませんでしたが、ご縁があって始めることになりました。エイアンドピープルは、女性の活躍の場を作りたいという思いで設立しました。これからの女性は社会で活躍しながらいきいき輝く美しい存在であること、女性のモチベーションを高め、忙しい女性を応援するという意味では、まったく事業領域は違いますがコンセプトが重なることから、化粧品事業も頑張ってみようと思いました。

安達 貴社の社員は全員女性ですよね。男性と女性の違いはありますか?

浅井 今の女性は自分の意見もしっかり持っていますので、頼もしく感じます。それに細かいところまで気がつくので翻訳のような仕事は適任です。しかし、男性と比べると長いスパン、全体的な大きなスケールで物事を考えるという点においては、女性より男性の方が相対的に優れているのではないかと思います。男性の場合は、3年後、5年後、10年後の定量的な目標を掲げて、逆算して考える人が多いのに対して、女性は「今」と「少し先の将来」を漠然と考えることが多いように思います。私も20代ではそうでした。また女性は男性よりも感情移入が強い傾向にあり、好き嫌いで仕事に対するモチベーションが落ちたりします。これはとても損なことです。

安達 管理する側はどのように女性を活用したら良いかなど、お聞かせいただけますか?

浅井 女性にも長期的に定量的な目標を持たせること、全体像を見る視野を養わせることでしょうか。女性は感情的になりやすいとおっしゃる男性の管理職が多いと思いますが、感情的になりやすいということを理解した上で上手に活用できるところまでは、まだまだ行き届いていないような気がします。女性は「理にかなわない、不平等である」ということにアレルギー反応を示します。その時に「今チームの命題はプロジェクトを成功させることであり、平等・不平等については後々それを活かす場で語りましょう」と最優先事項を明示し、社員にプロの自覚を植えつけることができれば、男女問わず社員の上手な長期的活用ができると思っています。

安達 仕事上のポリシーは何ですか?

浅井 「社員の幸せ、または人の幸せは何か」ということを忘れずに、会社を持続的に経営していくことです。「利益の追求イコール社員の幸せ」と「お客さまの満足」にリンクしていかなければいけないと思っています。社員は本当に会社の財産で、優秀な社員を雇用すると期待以上の成果を出してくれます。そういった社員をたくさん雇用することで会社はますます発展していきます。社員のコストカットよりも、如何に優秀な社員を育てパフォーマンスを上げるかを考えることの方が利益を得る近道であることに、ここ5年で気づき始めました。

安達 まさに人材ではなく人財なのです。人財力は企業にとって本当に大きいですよね。最後に、働く先輩として後輩への応援メッセージをお願いします。

浅井 今まで日本は、キャリアを求める女性はそれ以上を望むことを良く思われない時代が続きましたし、社会も結婚や出産しても働こうと思う女性をサポートする環境が整っていませんでした。しかし、少子高齢化が進む中で日本経済にとって減少する労働力に女性の活用は急務です。これからは男性と同じように、女性も仕事を持ち、結婚をし、子育てしたり、責任が伴うと同時に社会で闊歩することが当たり前な世の中になると思います。そうした時、プロジェクトを自分自身で完結できるようになるまで1~2年という短いスパンでは身につきません。仕事は、給料をいただきながらいろいろなことを学べる場ですから、ありがたいと思いながら取り組み、3年後、5年後、10年後の自分自身を見据えて長いスパンで自己実現を考えてほしいことが1つ。また自分の目標となる女性を見つけ、自分とその方を折に触れ比較しながら客観的に自分を見つめ謙虚になること。そして感情をコントロールしながら論理的に物事を考え、自分が与えられたポジションにおいて使命を理解し、その上でアウトプットしていくことを最優先に考えると良いと思います。会社は自分を高めてくれるフィールドです。それを活かさない手はありませんから、楽しみながら働いてもらいたいですね。自分のライフプランを充実するべく「欲張り」に生きてほしいです。もちろん美しさも!1度の人生、何事も諦めないでほしいですね。

安達 素晴らしいメッセージをいただきました。身近な人、社外の人、活躍している人、数少ないがゆえにそういう人をロールモデルにすることによって自分をますます高めていくということは私も同じ意見です。ありがとうございました。

【対談を終えて】

「もっと欲張りになって良い」という言葉はとても衝撃的でした。
素敵なパートナーと結婚したい、理想の家庭を作りたい、もっと美しくなりたい、もっとやり甲斐のある仕事をしたいetc…。
そんな願望は誰もが抱き思うことですが、思うばかりではなく長いスパンで目標を立てて具現化するためには何が必要か、何をしたら良いかを常に思考し行動に移せるよう、自分自身でコントロールできるような欲張りな女性になれると良いですね。


今回の取材にご協力いただいた
株式会社エイアンドピープル 代表取締役社長 浅井満知子氏のプロフィール
  • 歯科技工士、IT企業、翻訳会社勤務を経て、1998年10月に有限会社エイアンドピープルを起業。2000年に株式会社エイアンドピープルに変更し、翻訳や通訳、またそれに付随する異文化コミュニケーションビジネスを中心に事業を展開している。

◆株式会社エイアンドピープル
 →http://www.a-people.com/