The 対談

「学びを仕事に活かす」女性のキャリアアップを考える対談

「学びを仕事に活かす」女性のキャリアアップを考える対談

株式会社自分楽 代表取締役 﨑山みゆき氏と、当社 経営品質本部 品質保証部長 古谷智佳子が、女性のキャリアアップについて語り合いました。

◆掲載日:2016年8月31日

古谷  﨑山先生と出会ってそろそろ1年になりますね。2015年10月に人事部から品質保証部に異動し「品質」について考えることが多くなりました。今後は、特に高齢者向けのサービスが注目されるので、加齢と高齢化について勉強しないと時代として乗り遅れてしまうと考え「ジェロントロジー(老年学)」について調べていたところ、﨑山先生の「産業ジェロントロジー」にたどり着き、ご連絡したのがきっかけです。
 
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﨑山 古谷さんとお話をする中で、母校が一緒ということがわかって、ぐっと距離が縮まりましたね。私も、企業の品質分野というのはすごく必要だと思います。一般的にコールセンター業務は、シニアの方には向かない分野と言われていたのですが、あるコールセンターでシニアの方にオペレーターをやっていただいたところ、そんなに滑舌も悪くないし、シニアのお客さまとシニアのオペレーターという組み合わせが逆に良かったという話がありました。貴社のホームページを拝見して、素敵な会社ですし、将来何かお手伝いをすることができたらなと思いました。
 
古谷 﨑山先生は、大学院教授と企業研修とでそれぞれ講師をされていますが、どのような経緯で講師をするようになったのですか?
 
﨑山 短大を出て、10年ほどIT企業でOLをしていました。予算や計画を立てるという管理部門で実務業務を積みました。最後の3年間は、余暇生活を充実させるための助言をする「余暇開発士」という資格を取り、ライフプランの企画や職場レクリエーションの勉強をしました。それを活かし、社内研修用のカリキュラムを作り、運営から講師まで全部やらせていただいて、とても仕事が楽しかったです。バブル時代ということもあり、社員のレジャーや余暇を充実させることによって、仕事の充実を図ろうという施策があったのです。
 
古谷 その施策は、かなり好評を博したのでしょうね。
 
﨑山 この経験を活かし、総合職の試験の時も「ESはCSを生み出す」というテーマで発表しました。まだ「ワークライフバランス」という言葉がなかった時代ですが、営業やお客さまと接している現場の部長や事業部長が高く評価してくれました。社員のライフスタイルや人間の質がサービスの質に結びつくと考えていたからだと思います。
仕事はとても楽しかったのですが、結婚した時に、勤務地の移動で業務内容が変わるということで退職しました。退職後も講師の仕事を続けたいと考え、まずは市役所に行き地図をもらって、生涯学習施設やカルチャースクールなど30箇所くらいの施設に飛び込み営業をしました。最初は本当に仕事がなく、給料は1カ月に2万円くらいでした。銀行に行った時、カウンター越しに働く女性を見て、自分が負け組なのではと感じ、涙が止まらずに逃げ帰ったこともありました。今だから笑える話です。
 
古谷 どのような企画を持ち込まれたのですか?
 
﨑山 コミュニケーション力アップに関するものです。この研修を導入してくださった1施設は、生涯学習施設の中で最も規模が大きいところでした。この施設に導入していただけたおかげで、翌年からは一気に引き合いが増えました。また、当時「月刊社会教育」という文部科学省関係の雑誌に研修について寄稿したところ、編集長の目にとまり、掲載していただくことができました。全国誌だったので、その記事を読んで全国各地から仕事が入るようになりました。私のような小さな会社は、信頼が必要です。内閣府のメンタルヘルスの仕事を、立ち上げから5年やらせていただいていますが、国や県の仕事をしていると言うと上場企業の方は安心してくださいます。一度自治体に認められると企業にも認められ、信用力がつき、かなり軌道に乗ったので、民間企業のコミュニケーション研修やマナー研修、電話応対窓口研修などもおこなうようになりました。
 
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古谷 5年くらいフリーランスで活動されていた時期があったのですね。
 
﨑山 30歳で会社を辞めて独立し、35歳で大学院に行き直し、37歳で卒業、38歳でセミナーやコンサルティングをおこなう株式会社自分楽を立ち上げました。
 
古谷 大学院に行き直したというのは、どういう経緯なのでしょうか?
 
﨑山 大きな理由は2つです。1つは、学歴コンプレックスです。私のまわりの講師の方は学卒や大学院卒が大半で、短大卒はほとんどいません。短大は準学士、大卒は学士、大学院卒は…。皆さんと会話をしていると、いつも疎外感がつきまといました。そこで大学進学を考えていた時に、ちょうど文部科学省の法が変わり、短大卒でも実力があれば大学院に進むことができるようになりました。お世話になっていた教授の推薦もあり、研究課題に最適だった桜美林大学大学院に進みました。
もう1つは、お客さまに対してよりレベルの高い研修をしたいと考えたからです。ご依頼いただく研修も、管理者や経営者向けと、どんどん難易度が上がっていきました。そうなると、エビデンスに基づいた勉強が必要で、カリキュラムのある大学や大学院の授業を受けることできちんとした話ができるようになると考えました。
 
古谷 﨑山先生が「ジェロントロジー」に出会ったきっかけや時期について教えてください。
 
﨑山 桜美林が大学院の修士課程に「老年学」を作る前に、お試しの公開講座がありました。そこで老年心理学と老年学総論を受講したのですが、研修をおこないながら若年層とミドルと高齢者は教え方が違うなというのを何となく感じていて。現場での感覚だけなので裏付けもなかったのですが、老年心理や若者と高齢者との違いについて学んだ時に、企業研修に使えると思いました。企業研修でやったことを若者と高齢者とで比べ、老年学と紐づけたら、すごくうまくいきました。これは企業研修になると思い、始めました。
 
古谷 ジェロントロジーの研修がご自身のプログラムの中に入ったのは、いつぐらいのことでしょうか?
 
﨑山 2年前です。ただ、一番初めにセミナーをおこなったのは平成13年です。「中高年層のライフデザイン」というテーマで厚生労働省所轄の助成事業をさせていただいたのですが、当時は「中高年層のライフデザインやキャリア開発なんて必要ないだろう」「なぜ私生活を考えることが仕事に結びつくのか?」などと言われました。その頃「異世代コミュニケーション」というテーマでもセミナーをおこなっていました。導入先企業は、20代後半の社員が、ベンダーの40~50代の方へ指示がしづらいということに悩んでいましたが、研修の結果、気持ち良く年上の方に指示ができるようになったとのことで、大変嬉しかったです。
 
古谷 40代に入ってからは、いかがですか?
 
﨑山 大学院の教授になったことと、かなり勉強をしていたということで、本当に毎日が早かったです。家庭もありました。2年間くらい静岡大学大学院で講師をしていたのですが、私の授業をとった学生はプレゼンテーションも上手だし、ロジックに考えることができるようになり、評価が良かったのです。そこで私の授業を必修にしようという話になり、講師から教授になりました。
 
古谷 そして50代に突入していくわけですね。「産業ジェロントロジー」の商標登録をされたのは昨年でしたでしょうか?
 
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﨑山 はい。2015年に商標登録をしました。その後、この商標を活かして「一般社団法人 日本産業ジェロントロジー協会」を設立しました。ジェロントロジーという分野で、新しい資格制度を創りたいと考えていたからです。対象は企業の方がほとんどで、金融業界や人材業界、製造業界などいろいろです。ここ最近は、フリーランスの女性キャリアコンサルタントの方が増えてきています。これから必要とされるシニア人材について勉強し、ほかのキャリアコンサルタントとの差別化を図るためだそうです。あとは、社会のためにもなるとも言っていますね。
 
古谷 日本産業ジェロントロジー協会の代表理事と株式会社自分楽の代表取締役。両者の使い分けや活動の区別はされていますか?
 
﨑山 協会は、資格の認定がメインです。株式会社自分楽は、養成講座と企業研修、コンサルテーションです。将来的には、株式会社自分楽が養成講座と試験、協会が認定と会員組織運営をおこなうという仕組みにしようと考えています。ところで古谷さんは、お仕事をする上で大切にしていることはありますか?
 
古谷 「楽しむ」です。私の場合、マネージメントが仕事の大半を占めるところがあるので、自分が楽しめていないと、まわりも楽しくならないと思っています。楽しくないなってよぎっている時は、良い仕事していないなと。
あとは「女性らしさ」を忘れないことですね。お母さんですし、妻ですし、女性なので、男性のように働きたいという気持ちはありません。男性にも女性にもそれぞれの働き方があるのだと思ってくれれば良いと考えています。
 
﨑山 同感です。私も女性らしく働きたいと考えています。やはり女性は男性と役割が違うところがあると思います。それぞれが、自分の役割を果たせば良いのかなという気がします。と言いながら、私のまわりは8割が男性なんですけれど。あと、約束を守ることです。そして、できないことはできないと最初からはっきりと言うこと。30代後半になってから、相手に迷惑がかからないためにも、特に意識して言うように努めています。
 
古谷 働く女性の先輩として、働く後輩へのメッセージをお願いします。
 
﨑山 勉強をしましょう。特に学校を上手に使って、仕事に活かして欲しいと思います。大学院とか大学は、海外に向けて就職や仕事をしようという時に、ちゃんと履歴書にMBAとかマスターと書くことができます。民間資格は、日本でしか通用しないことが大半です。これからはインターナショナルに通用することが大切だと思います。そして「人のために辞めない」こと。育児や介護のために辞めたという方がいますが、辞めたのは自分であるはずなのに、子どもや親のせいにしてしまいがちです。相手の期待にも背いてしまいます。だから、人のためには辞めないで。生涯学習こそが、私たち女性のキャリアを創ります。
 
古谷 そう思います。物事は続けると良いことありますよね。本日はありがとうございました。
 
 
【対談を終えて】
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﨑山先生とは、高齢化するユーザーへのサービス提供の方法を研究する中で「ジェロントロジー(老年学)」というキーワードを元にお会いする機会をいただきました。初めてお会いした時から「女性の働き方」「高齢者の働き方」そして「男性の働き方」、いわゆるダイバーシティを、自然体でいてエネルギッシュにビジネス展開されている姿がとても印象的な方でした。
対談の最後に、先生から「ぜひ、女性には大学院で効率的に学んでほしい。大学院卒業という資格は世界共通なんですよ」というお言葉をいただきました。自身のキャリアを模索する中で「学び」という手段を選択し、その時々のチャンスをしっかりとつかみとりながら、キャリアアップされた方だからこそのアドバイスだなと感銘いたしました。女性は、比較的真面目にコツコツと辛抱強く続けることが得意な方が多いですから、先生のように学び続ける中で、自身のキャリアプランを探しながらステップアップしていくことが向いているのではないかと思いました。(古谷)
 

今回の取材にご協力いただいた
株式会社自分楽 代表取締役 﨑山みゆき氏のプロフィール
  • 学術博士、静岡大学大学院客員教授、株式会社自分楽 代表取締役、一般社団法人 日本産業ジェロントロジー協会 代表理事、横須賀市文化振興委員、NPO法人「楽学の会」顧問。
  • 1965年横須賀市生まれ。10年間の会社員を経て独立。働きながら大学院にて「コミュニケーション能力開発」の研究に従事し、2003年法人設立。実績は内閣府・総務省・地方自治体・一部上場企業・大学・ロータリークラブ・老人クラブなど幅広い。著書「シニア人材マネジメントの教科書」(日本経済新聞出版社)ほか。
◆株式会社自分楽
 
◆一般社団法人 日本産業ジェロントロジー協会