-- 起業した当時は大変だったのでは?
金川社長 :大変でしたよ(笑)。会社って言うのは、社会的な存在意義が必要なんですよ。お客さまに必要とされて、初めて成り立つ。利益だけでは成り立たない。地域貢献、ひいては社会貢献することが必要なんです。でも、そんなことを教えてくれる人もいなかったから、最初は、苦しかった。1年目には、「IT時代の街の電気屋」をコンセプトに、三鷹と吉祥寺に50〜60坪のPCショップを出しました。当時は、三鷹と吉祥寺にPCショップがなかったんですね。だから、いけると思った。でも、全然うまくいかないんですよ。約一年やってみて、全く上向く気配がない。そんなときに、ソフマップの元社長鈴木慶さんに偶然お会いする機会があり、「金川さん、それは大間違いだよ。」と言われたんです。「秋葉原は、店が小さくても、街全体が集客機能を果たしている。お客さまは、いろんなところを回って、品定めをしたいんだよ。でも、三鷹や吉祥寺では、比較するお店もなければ、わざわざ三鷹や吉祥寺のお店にいくお客さまもいない。吉祥寺や三鷹に店がない?そりゃ、ないから、お客さまは、金川さんのお店にはいかないんだよ。」と言われたんです。
-- それはかなりショックだったのでは?
金川社長 :本当に、ショックでしたね。自分のやっていることが間違っていたなんて。とにかくこれ以上やってもしかたない。そこで、すぐに店を閉めるという決断をしました。初めての挫折でしたね。横河の社長には、在庫と店舗を持つなと何度も言われました。でも、PCショップをやりたいんだって、同じ提案を4回もした。やっと4回提案して、承諾してもらった話を自ら止める。首になるんじゃないかと思いましたね。
社長に、頭を下げにいったら、なんと社長が誉めてくれたんですよ。
「やるときも早く、止めるときも早く。大見得きってくるやつは、普通辞められないもんだ。それを止めるというのは、素晴らしい決断だ。」ってね。
そしたら、「次は何考えてんだ?」って話になって、次の構想を話したら、「それをやれ」って展開になったんです。すごい嬉しかったですね。また、失敗を恐れずに、どんどんやれと、そのときに強く学びました。本当にいい経験でしたね。
-- その後はどのようなビジネスをやられていったのですか?
金川社長 :それからは、訪問サービス事業に切り替えました。その当時、パソコンが世に普及し始めてました。でも、まだまだ一般の方になじみやすい日常品ではなかったので、取り付けや初期設定をサポートする訪問サービスを始めたんです。最初は、疑心暗鬼だったのですが、「IT時代の街の電気屋」に、なぜか成功する確信があったんですよね。
今までは、パソコンは専門性の高い人たちが比較的使っていたんですが、それが、大衆化して、多くの人が使うようになっていったのです。それに伴い、多くのユーザーが何か自宅で起きた問題を解決するのは難しくなっていきました。そこで、専門家がお宅に行って解決する事業が脚光を浴び始めたんです。
-- 金川社長がいつも大切にされているものは何ですか?
金川社長 :ポジティブということですね。会社経営っていうのは、いつでも不安なものです。だからこそ、ポジティブで居続けなければならないのです。あまり考え込まない。なんとかなるんじゃない?って精神です。一時期は、10億円の赤字を抱えて、自分の給料が丸1年ない時期もありました。軌道に乗り始めたあるときに、横河電機の社長のところに行ったら、「お前は来るといつも、ニコニコしていて、肌つやもいいし、10億円損している経営者に見えなかったよなぁ。」と言われたのを今でも覚えています。
「どうやったら、うまくいくか?」
常に葛藤しています。どんなときでも、頭が動いてなきゃいけない。休みのときも全てを忘れていない。頭のかたすみにはいつも残っている。それが経営者だと思います。
-- 金川社長にとって、会社経営で重要なものは何でしょう?
金川社長 :会社は何のためにあるのか?理念を追求して、正直になることです。経営は、山の頂上目指して、重い鉄球を転がすようなもので、初動は遅いんです。しかも重い。でも、あるとき、急に山の上に登った勢いで球が転がりだす。それまでは、自分の思っていることを徹底して伝えていく。そうしたら、周りが動いてくれるようになるんです。最初は大変ですが、いったん走り出してしまえば、そう簡単には止まりません。
-- 会社を経営していて学んだことは何ですか?
金川社長 :常に限界以上を目標におくことですね。社員は、いつもきつい、厳しいと言います。たとえば、訪問件数が増えて、1万件、2万件になった時も、きつい、きついと言ってました。そして、最近になって4万件になっても、まだ、きついと言ってます。そこで、今月から3万5千件にしたんです。そしたら、社員がみんな楽勝って顔をしている。
人間の知識や経験っていうのは、恐ろしいもので、できないと思うことをやっていたら、できるようになっている。人間、ストレッチが大切なんですね。知恵と努力を振り絞っていたら、結果が出て、自信がつく。それで、成長していくんです。