専門家コラムColumn

第1回 顧客の動向を知るDMPについて

2019.08.08

多くの企業は、営業活動の中で、顧客のニーズやウォンツを正確に把握することに多大なエネルギーを費やしています。営業スタッフが顧客から直接ヒアリングした情報だけではなく、マーケティング部主導の顧客へのアンケート調査、セミナー開催時のアンケートなどの情報も加え、顧客のニーズやウォンツの把握に努めています。

 しかし、企業の営業スタイルにも「デジタル化」による変化の波が到来しています。数年前から、企業からの新商品発売などの情報発信は、Web広告や自社ホームページなどのデジタルメディアを通じた発信が一般化しています。また顧客側も、事前にそういった情報を閲覧した上で、他社商品との比較や購入を検討するスタイルが一般化しています。
デジタルマーケティングが進んできた現在では、これらデジタルメディアでの顧客の行動履歴を統合的に把握・分析できる「DMP(Data Management Platform)」の活用が注目されています。
DMPとは、インターネット上の様々なサーバーに蓄積されるビッグデータや自社サイトのログデータなどを一元管理・分析し、顧客へのWeb広告の配信や販促施策を最適化していくためのプラットフォームのことです。(図-1参照)

図-1

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DMPには、YahooやGoogle、楽天などの広告ネットワーク網と連携し、外部サイトの閲覧情報を活用する「オープンDMP」と、自社が運営するホームページやブログ、スマホアプリなどへのアクセスログを活用する「プライベートDMP」があります。本稿では「プライベートDMP」の活用による企業の営業活動の変化について説明します。

従来、「顧客が自社のホームページを閲覧した情報」、「メールマガジンを開封し商品サイトを閲覧した履歴」、「商品を注文した履歴」などの情報は、別々のデータとして管理されていました。これら情報を統合して顧客の行動を一元的に把握することは不可能、あるいは膨大な工数がかかる作業でした。
「プライベートDMP」を活用した場合、自社のホームページやメールマガジンなどの閲覧履歴の管理だけではなく、CRM(顧客情報管理)システムや販売管理システムとの情報連携も可能となります。システムの技術的な説明はやや専門的なので割愛し、具体的な活用ケースでその機能を説明します。場面設定は、BtoBと呼ばれる法人を対象とした営業活動です。

営業スタッフがある企業を訪問し、新商品の説明をしました。しかし、企業の担当者からは「今のところニーズはない」と言われたとします。従来であれば、その企業は「見込なし」として営業部内でランク付けされていたと思います。ところがそのお客様は、営業スタッフが帰った後、商品説明のWebページにアクセスし、細かな情報を閲覧していたとします。「ニーズはない」と言ったものの、実は検討していた、あるいは興味を持ったのかもしれません。
残念ながらこれまでは、そういったお客様の行動を把握することは困難でした。しかしDMPを活用すると、営業スタッフが対面で収集したアナログの情報とWebサイトの閲覧情報などを統合して管理することができます。
従来は、営業スタッフとの商談の内容やその時の印象など、限られた接点での情報をもとにお客様の購買見込度や営業活動プランが決められていました。その結果、上記のようなケースでは「見込なし」として放置され、商機を逃していたのかもしれません。

DMPの活用で「顧客動向」がより多面的に、かつ正確に把握できるようになり、タイムリーなアクションの展開が可能となって来ています。DMPという新たなテクノロジーの普及拡大により、今後更に営業活動の生産性向上が進むと期待されます。

DMPは、営業活動の生産性向上をもたらすだけではなく、企業の営業活動のプロセスや営業組織の位置付けにも変化をもたらしています。それを後押ししているのが、DMPの機能に拡張させた「マーケティングオートメーション(MA)」というシステムプラットフォームです。(図―2)
次回は、その営業活動の変化とマーケティングオートメーションの機能についてレポートします。

                   図-2

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AIテクノロジーがもたらすマーケティング手法

矢野 良二 Ryoji Yano

AI事業戦略本部 DX推進部 部長

B2B広告代理店での経験を元に、2002年B2Bマーケティングに精通したCRMマーケティングサービス事業を起業し国内ONE on ONEマーケティングの先駆者となった。2010年よりコンタクトセンターにおけるセールスマーケティングサービスに注力し、多数のインサイドセールスマーケティング事業のコンサルタントとして活躍している。現在、立教大学大学院にて経営管理学修士(MBA)を取得中。