専門家コラムColumn

第4回 新たなセールスチャネル「デジタルインサイドセールス(デジタルIS)」

2020.03.10

 第3回では、マーケティングオートメーション(MA)を活用した顧客の発掘と育成について解説しました。顧客は、関心がある商品を販売している企業を見つけると、その企業のホームページや、企業から送られてくるメールマガジンなどのコンテンツを通じて、商品の情報収集を行います。MAは、その顧客のコンタクト情報を収集し、顧客の購買に向けた動向を管理していきます。
 MA上で、商品への関心や購買に向けた検討度合い高まっていると判定された顧客は、販売に向けた次のステップである営業活動(セールス)のフェーズに移行されます。近年、この営業活動で重要な役割を果たしているのが、「インサイドセールス」と呼ばれる訪問しない営業の職務です。

 一般的な営業活動は、営業スタッフが企業に訪問して行われます。英語では、Field SalesやOutside Salesと呼ばれていますが、訪問しない営業活動は、これらの対義語としてInside Sales(インサイドセールス)と呼ばれています。
 従来の営業組織にも、内勤営業と呼ばれる訪問を行わない営業職務は存在していました。内勤営業は、会社を出払っていることの多い営業スタッフに代わって顧客からの連絡や事務処理、調査、資料作成などの補助を行っていました。またテレマーケティングと呼ばれる、営業訪問のアポイントを獲得する(いわゆるテレアポ)の業務も存在していました。しかし、これらの業務は、前述の「インサイドセールス」とは本質的に異なっています。

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 インサイドセールスでは、デジタルチャネルでのコンタクト情報(デジタル情報)や顧客との対話を通じて、顧客の潜在的課題を引き出し、顕在化させていきます。そして、その課題改善の提案を行うことにより「案件化」させていきます。顧客の課題を受動的に把握するのではなく、能動的に案件の創出を行う職務になってきています。

 近年のインサイドセールスは、デジタル情報の活用がポイントとなることから、単なる遠隔営業と区別する意味で、「デジタルインサイドセールス(デジタルIS)」と呼ばれることもあります。

 第1回のコラムでも報告したように、日本社会では、労働力人口の減少に伴う、一人当たりの労働生産性向上という課題を抱えています。そうした背景もあり、従来型の訪問営業に加えて、デジタル情報を活用した新しい営業活動である「デジタルIS」に注目が集まっています。


 第1回から「AIなどのテクノロジーがもたらす新たなマーケティング手法」というテーマで、DMP(Data Management Platform)やMA(Marketing Automation)についてレポートしてきました。本稿では、それらの技術を活用した「デジタルインサイドセールス」という営業活動についてレポートしました。

 次回以降しばらくは、これからの営業改革の一つの手法とも言える「デジタルインサイドセールス(デジタルIS)」について、更に深掘りして報告をお届けいたします。

AIテクノロジーがもたらすマーケティング手法

矢野 良二 Ryoji Yano

AI事業戦略本部 DX推進部 部長

B2B広告代理店での経験を元に、2002年B2Bマーケティングに精通したCRMマーケティングサービス事業を起業し国内ONE on ONEマーケティングの先駆者となった。2010年よりコンタクトセンターにおけるセールスマーケティングサービスに注力し、多数のインサイドセールスマーケティング事業のコンサルタントとして活躍している。現在、立教大学大学院にて経営管理学修士(MBA)を取得中。