The 対談

現在、秘書教育・ビジネスマナーに関する教育事業およびスキンケア関連の商品開発事業を展開する株式会社チュニーズ・カンパニー 代表取締役 丸山ゆかり氏と、当社事業開発本部マーケティング部長(広報・秘書部門)安達あけるが、女性のキャリアアップについて、語り合いました。
◆掲載日: 2013年 7月31日
安達 丸山さんは大学時代に薬学を学ばれて、卒業後大手製薬会社に入社されました。研究所ではなく秘書課に配属という異例の人事のように思いますが、その時どのように感じましたか。まったく専門外ですよね。
丸山 引き続き薬学の研究ができると思っていたのに「大きな夢が見事に打ち砕かれた」と、その配属は私にとって衝撃的なものでした。まさか管理部門に配属されるなんて夢にも思っていませんでしたから「なぜ?」という思いでした。でも、秘書課でいろいろなレクチャーを受けた初日、これが自分に与えられた環境なのだから、とそういう思いを全部捨てて「よし!ゼロからやろう!」と、意識を変えることにしました。
安達 それから社長秘書として13年経ってベテランになったわけですが、今振り返ってみると、どのような思いで秘書業務をこなしていましたか?
丸山 失敗が続き、悔しさと自分の情けなさから涙が溢れることもあり、これでやっていけるのかと思っていたのが1年目。徐々に秘書業務のなんたるかがわかってきて、仕事がおもしろくなってきたのが3年目~5年目。秘書業務は、与えられた環境の中でいかに自分を最大限に高めていくか、チャレンジし甲斐のある仕事でした。ただし、簡単に飛び越えられるようなハードルばかりではありませんでした。工夫・努力・知識を増やしていかないと越えられない高い壁がいくつも出てきますが、挑戦しがいのある業務だと思えてきたのが5年目~10年目だったと思いますね。
安達 ずばり、秘書業務の魅力とやり甲斐は何ですか?
丸山 秘書業務は、人・情報・時間のすべてを駆使しないとできない仕事です。最終的には社長の仕事のパフォーマンスを上げていくサポートがどれだけできるか、これは相当卓越したプロデュース力が必要だと思いますが、実は、決して自分が事を起こすわけではないにしろ、自分が興した1つの準備が、社業の業績を大きく左右するきっかけとなることの醍醐味を感じられる仕事だったと云うことが、最大の魅力なのでしょうね。
あともう1つは、相手と社長がお互い良い形、つまりフェアな関係をつくる、という下支えをするに際し、相手の立場をものすごく考えます。非常に複合的な要素が求められる秘書業務の深さを感じました。安達さんも秘書業務を20年以上ご経験されていますが、そうではありませんか?
安達 そうですね。会社のトップ同士とのアポイントメントには今でもとても気を使います。秘書課長を経て、国際本部営業部へとご自身から申し出て異動されましたよね?
丸山 管理部門以外で、まったく違う分野の仕事にチャレンジしてみたかったのです。アメリカやヨーロッパの企業に入浴剤を売るのがミッションでした。
安達 本当にガラッとステージが変わりましたよね。営業は企業経営の根幹ですから、経営者に就いていた経験が活かされたのではないでしょうか。その後、転職されて化粧品会社の副社長になられました。
丸山 ご縁でしょうか、化粧品会社の立ち上げをしてみないかと声をかけていただきました。自分にとってはまったく未知なる世界でしたが、挑戦してみようと思いました。
安達 好奇心旺盛だったということですね。とても興味深い新たな転身です。背中を押したきっかけは?
丸山 仲間のいる慣れた環境から飛び出すということは、とても勇気がいりましたが、それまで培ってきた経験を活かせるなら、新しいステージで自分の可能性に駆けてみようと。
安達 それまで化粧品に関して興味はありましたか?
丸山 女性として化粧品には大いに興味がありましたので、商品開発から携われるならやってみたいと思いました。人事、総務、コールセンター、営業、広報など一通りのマネージメントを経験しましたが、実のところ、秘書時代の経験が「使えない」という瞬間が多々ありましたね。経営者の立場で決断し実行することの難しさを勉強させられましたし、人脈もすべてゼロから積み上げていきましたから。
安達 これまでの経験が活かされずゼロから積み上げることになった。怖くはなかったですか?
丸山 世の中の厳しさを知りました。無名な会社の名刺を持って挨拶するところから始めるわけですから、そのパワーは計り知れません。どのように自分で積み上げていくか、打破していくか、良い意味で修行でした。でも、それは本当に貴重な経験でした。
安達 さぞやご苦労されたとお察しします。地道な努力が報われ、その結果、化粧品会社の立ち上げが順調に進み、今度はご自身でチュニーズ・カンパニー社を起業されましたが、そのきっかけと事業内容を教えていただけますか?
丸山 今後、自分の力をどう社会に活かしていくかを考えました。つまり「今の自分に何ができるか」ということに立ち戻るのです。過去の秘書経験から、秘書育成や人材教育ができるということが1つ。もう1つは薬学の専門知識と化粧品会社の立ち上げの起業経験を活かし「洗顔石けん」の魅力と効果的な使い方を伝えたいという思いから化粧品事業を起こしてみたいと。これは私の夢ですね。まずは自分ができることを広げていく、自分の夢を形にする、これが起業という形になったと思います。
安達 確固たる思いが素晴らしいですね。最後に、今、目標が見えていないとか、キャリアアップするにはどうしたら良いのかとか、何のために仕事をしているのか日々悩みながら働く女性や、これから社会に出ていく女性へアドバイス・応援の言葉をお願いします。
丸山 私にも、やりたいことがわからないという悶々とした時期がありました。まずは物事にプライオリティーをつけるということが大切かなと思います。プライオリティーをつけていくと、自分が何をやりたいのか、どこに方向性を持っていくのか決まってきます。プライオリティーの基準は、今やるべきこと、今好きなこと、何でも良いのです。優先順位が定まると、自然と自分の進むべき道が見えてきます。やりたい仕事というのも、そこから見つけられるのではないかと思います。
安達 最初から目標を持たなくても良いということですか?
丸山 無理やり目標を持つ必要はありません。好奇心や興味があると思う事柄を積極的に増やしていくことですね。そうすると、これをしている時に自分が心地よいと感じたり、その方向に目が向いたり。好きなこと、興味があることの世界を拡げていくと、思いがけずチャンスに巡り会ったりします。そしてその好機を捕まえること、ですね。
安達 興味を増やしていって整理するということですか?
丸山 そうです。もう1つ言えるならば、皆さんには与えられた環境がありますよね。会社・部署・仕事などいろいろ。その与えられた環境の中で最大限に自分自身を活かしていくことが大切だと思います。そのプロセスの中で、自分の新たな可能性や次のステージが見えてきます。まずはその環境の中でとことんチャレンジすることを意識して行動してほしいです。活かせる土壌・分野・場所があるということをチャンスと捉えて進んでいくことが、必ず次へのステップアップに繋がると思います。
安達 若いうちにいろいろなことに興味を持ってチャレンジして、適正に合った場所で力を発揮した方が良いということですね。参考にしたい素晴らしいメッセージをいただきました。本日はありがとうございました。
【対談を終えて】
女性経営者との対談の第2弾となりましたが、丸山さんは題目通り「与えられた環境の中で最大限に自分の力を発揮する」というその時々の状況に応じて常に冷静に自分を観測し、しっかりコントロールして転身されていると感じました。
与えられた環境の中で、自主的に動いてチャレンジしてキャリアアップにつなげてほしいですね。女性の働き方の示唆となる1つのロールモデルではないかとつくづく感じました。
株式会社チュニーズ・カンパニー 代表取締役 丸山ゆかり氏のプロフィール
- 1986年共立薬科大学薬学部(現 慶応大学薬学部)卒業後、大手製薬会社に入社。
- 社長秘書、秘書課長を経て、国際本部営業部欧米課に勤務。退職後、化粧品販売会社の取締役副社長として、会社を立ち上げ、商品開発、販売戦略、広報宣伝を担う。
- その後、起業し現在の会社を設立。主に秘書教育・ビジネスマナーに関する教育およびコンサルティングを中心に活動。
- 日本秘書協会のセミナーや企業研修などでの受講者は3,000人を超える。薬剤師としての知識を活かして、アンチエイジングやスキンケア関連の商品開発を手掛けている。
◆株式会社チュニーズ・カンパニー
→http://tunnie-s.co.jp

名称 | Business-Airport ![]() |
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交通 | 「外苑前」駅 徒歩3分(東京メトロ銀座線) 「表参道」駅 徒歩7分(東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線) |
用途 | 個人事業主のメインオフィス利用や、企業法人のサテライト利用。 イベントスペースとしての貸し出し。 会議室としての貸し出し。 |
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