The 対談

「生涯を通して仕事を続けて欲しい」女性のキャリアアップを考える対談

「生涯を通して仕事を続けて欲しい」女性のキャリアアップを考える対談

現在、宮城県 労働委員会事務局 審査調整課長 小松直子氏と、当社 執行役員 コーポレート・コミュニケーション部長 安達あける、コーポレートサービス本部 人事総務部 仙台管理グループ マネージャー 小川美嘉が、女性のキャリアアップについて、語り合いました。

◆掲載日: 2014年 4月30日

安達 今までの経歴を教えていただけますか?

小松 仙台の大学を卒業して宮城県庁に入庁しました。当時は女性の就職先が確保されにくい時代で、職業を選ぶという選択肢はありませんでした。資格を取得してスペシャリストになるか、外資・流通などの民間企業に就職するか、あるいは男女の雇用が対等の公務員になるかと迷った結果、公務員という選択肢を取りました。

安達 最初はどちらに配属されましたか?

小松 仙台福祉事務所に配属されました。児童母子係という、子供と母子家庭のケアをする係で、そこで保育所の指導や福祉手当を支給する仕事などを担当しました。その後、市町村の行財政指導をおこなう課に異動になりました。自治体の仕事は、福祉も農業も土木もどんな仕事も、基本的に法律に基づいておこなわれます。地方自治法を担当する行政係でいろいろな法令を解釈し専門性を高め、法令関係の研修講師を担当したり、市町村からの専門的な問い合わせにお答えする仕事を経験させていただきました。

小川 その後はどのような仕事をされましたか?

小松 教育委員会の生涯学習や環境政策を担当しました。現在では環境配慮は当たり前の時代ですが、平成7年~8年頃は目覚め始めたばかりの時期でした。宮城県としても環境基本条例を作り、これから環境に配慮した取り組みを強めていきましょうということで、環境関係のイベントの開催や事業者への指導などに携わっていました。長寿社会政策課では介護保険の運営と、高齢者の福祉や生きがい対策などを担当しました。私は事務職なので、さまざまな職種を経験させていただいています。

小川 公務員の仕事は男性社会が中心というイメージを勝手ながら持っています。そのあたりはいかがですか?

小松 私が入庁した時期の新入社員は男性が多く、同期の女性は私1人しかいませんでしたが、公務員自体は競争試験なので基本的には男女差別はありません。ただ、当時は女性が就くことの難しい仕事はありましたね。また、危険な仕事を女性にはさせられない、と男性が配慮をしてくれていた、ということもあります。例えば、生活保護のケースワーカーや、納税業務、用地交渉など、比較的内容が厳しい仕事や、会社でも一番忙しい課でしょうが財政課や人事課には女性の配置は少ないかもしれません。差別とは違いますが、配慮されるがあまりに大事に育てられてしまったかもしれません。

小川 待遇での男女差別はないのですね。

小松 知事が男女平等に対して非常に理解があるということも影響していると思います。

小川 仕事をする上で小松さんが一番大切にしているポリシーはありますか?

小松 好奇心です。異動した場合、新しい仕事にチャレンジすることになります。ですから、食わず嫌いをしてしまうと最初からペースダウンしてしまいます。できるだけ好奇心を持って、何でもチャレンジして取り組んでみることが仕事上大事であると思っています。

安達 職員に対して小松さんがいつも伝えていることはありますか?

小松 毎年職員に対して伝えていることが3つあります。1つめは「良い仕事をしましょう」、2つめは「楽しく仕事をしましょう」、3つめは「ワーク・ライフ・バランス」です。1つめの「良い仕事をしましょう」は、特に公務員の仕事は社会情勢に合わせて変える必要がありますし、当然住民の皆さまに満足していただける仕事をしなくてはいけません。そういう意味ではいろいろな方の話を聞いたり勉強するなど努力しなければいけません。良い仕事に繋がるように、しっかり勉強して欲しいということです。2つめの「楽しく仕事をしましょう」は、組織についてです。会社と同様に県庁も組織で動きます。ですから、1人で頑張って一生懸命仕事をすることが必要なところもあるでしょうが、隣りの人の仕事を知ること、コミュニケーションを取りながら時には笑いを交えながら良い関係を作って、お互い気持ち良く働いて欲しいという思いがあります。3つめの「ワーク・ライフ・バランス」は、働き方は多岐に渡りますから休む時期もあるかもしれません。でも働けない時期も実りのある時間となります。お互いに尊重し合うといいますか、例えば、この日は子供の何かがある、家族の何かがある、介護があるなど、それぞれ自身の生活がありますから助け合いながらお互いの暮らしや仕事を尊重し合い仕事をしましょう、ということです。

安達 宮城県庁は、非常に女性が働きやすい職場ですね。宮城県庁の女性管理職は、どのくらいですか?

小松 約600人の管理職のうち30数人、5%程度ですね。現在は徐々に女性職員が増えています。将来的には女性管理職も数%ではなく、20%~30%になっていくと思います。

安達 将来管理職になる女性、または管理職になろうとしている女性にどのようなメッセージを送りたいですか?

小松 遠慮しないでまわりの手を借りたらいいよ、と伝えたいです。結婚して子育てや介護といった人生の節目で、一時的に仕事の時間を確保できないという意味でパワーダウンすることがあっても、その時の経験はすごく活きます。特に公務員の仕事の場合には、住民の皆さまの生活や健康面など多方面でお手伝いをする役割を担う仕事が多く、お子さまの通う学校のPTAであったり地域の活動など、さまざまな方とプライベートの時間で関わる経験は大変役立ちます。民間企業も同じで、お客さま目線のそういった経験が活きますので、生涯を通して仕事を続けて欲しいということです。

小川 休んでいる時でも社会経験になりますから、怖がらずに休んで、それでまた仕事に戻ってきて欲しい、ということですね。女性は、結婚、出産などの経験をすると、働き方は多岐に渡りますからね。

安達 休みを取ることは悪いことではなく、リフレッシュできますし、また当然の権利でもあります。休みを取るには、休んでいる間もその業務が止まらないように業務シェアしなければなりません。よって、不正防止対策という意味でも、会社は休みを取らせるための体制作りが必要であるといえます。これからもっと女性が働き続けられる環境が整い、生涯を通して仕事を続けて欲しいですね。

【対談を終えて】

入庁からこれまでのお話しを伺い、意外なことが3つありました。1つめは、公務員の仕事は男性社会が中心というイメージを持っていましたが、実は女性が働きやすい職場であり、知事が男女平等に対して理解が深いこと。2つめは、女性管理職が年々増員傾向にあること。3つめは、県庁という規律制の高いと思われる職場の中で、小松さんは自然体でのびのびと働いていることです。宮城県をこよなく愛し、県民のために惜しまず働く姿が印象的でした。更なるご活躍を期待しております。
 

今回の取材にご協力いただいた
宮城県労働委員会事務局 審査調整課長 小松直子氏のプロフィール
  • 1985年宮城県入庁。
  • 市町村の行財政指導、県の行財政改革や情報政策、生涯学習、環境、保健福祉政策などを担当。
  • 2010年に長寿社会政策課介護政策専門監。
  • 2011年に東日本大震災を経験し、高齢避難者の支援と仮設住宅の生活支援などを担当。
  • 2012年に情報産業振興室長。ITによる被災地の復興と地域IT産業の振興をめざし、IT分野の雇用創出や人材育成、IT企業の商品開発や市場獲得の支援を担当。コールセンターの分野では、みやぎコールセンター協議会と連携し、人材確保や育成のためのセミナー開催、コールセンター認知度向上のためのPR作戦(ゆるキャラ「むすび丸」の活用)などに積極的に活動。
  • 2014年4月より労働委員会事務局 審査調整課長、現在に至る。

◆宮城県
 →http://www.pref.miyagi.jp/