The 対談

「未来の自分へ感謝」女性のキャリアアップを考える対談

「未来の自分へ感謝」女性のキャリアアップを考える対談

「女性の“愛する心”を応援します」をコンセプトに家事代行サービスやハウスクリーニングを手がける株式会社ベアーズ 専務取締役 髙橋ゆき氏と、当社 執行役員 コーポレート・コミュニケーション部長 安達あける、コーポレートサービス本部 人事総務部 人事グループ長 古谷智佳子が、女性のキャリアアップについて、語り合いました。

◆掲載日: 2014年 7月31日

安達 今までの経歴をお話しいただけますか?interview10_03.jpg

髙橋 短期大学を卒業して都内のIT企業に就職し1年程度経過したころ、母が経営する出版社に転職することになりました。親の七光を受け、ポジションを用意されることが嫌で逃げていた時期もありましたが、母が一生懸命築いてきた会社であることと、勉強し努力して一緒に進もうと思い、転職を決意しました。母は私にいくつものチャレンジを与える中で、香港で4,000万円の広告費を集める仕事を任せました。香港で1カ月半程度企業訪問をこなし、なんと4,000万円を達成するという充実した生活を送っていました。帰国する前夜には「香港で仕事がしたいな」と思ったことは今も鮮明に覚えています。

安達 大きなチャレンジを乗り越えたのですね。

髙橋 そうしているうちに、母の会社が倒産し両親ともに破産。これからどうしたらよいかという時、香港での頑張る姿を見ていてくださった方が、香港で仕事をしないかと声をかけてくれました。とてもありがたいお話でしたが、結婚していましたので日本と香港で離れて暮らすことはできないと思いました。しかし、夫が「一緒に行こう」と。ホテルマンの夫は香港でビジネスに興味があったので、「良いきっかけをくれた」と言ってくれました。こうして香港生活が始まりました。

interview10_03r.jpg古谷 香港での生活はいかがでしたか。

髙橋 香港には、フィリピンの女性がメイドとしてそれぞれの家族の仕事や子育ての両立を支えてくれる習慣がありました。子どもに恵まれて、私もスーザンというメイドと出会い生活していくことになります。スーザンは私より5歳年上の女性で、当時5歳になる男の子を出産しご自身のご両親とご主人に子どもを預けて出稼ぎに来ていました。働くママとしての先輩でもありますので、子どもが泣きやまない、どうして食べてくれないの、ということに対して「こんなときもあるから大丈夫よ。それよりも笑顔でいることの方が大事よ」とよく話してくれました。これは掃除や洗濯、買い物や料理をしてくれること以上に私の気持ちの支えになりましたね。スーザンのおかげで自分らしさを保ち、やさしい妻であり、いつも笑顔のママであり、社会でビジネスウーマンとして貢献できたのかなと思います。とても楽しい香港生活を4年程度送らせていただいた後、日本に帰ってきました。
 
古谷 日本と香港では、生活環境は異なりますよね。
 
髙橋 今度は異国の地ではなく自分の生まれ育った日本で、両親も近くにいるし言葉の壁もないし、2人目が産まれてもまたスーザンのような存在を探せば大丈夫、と思っていました。でも当時の日本には、ハウスクリーニングや家政婦紹介業しかなく、香港で体験したスーザンのようなサービスには出会えない現実。毎日ひとりで仕事と子育てを両立することになりました。当時夫はアメリカにホスピタリティを学びに短期留学をしておりまして、数カ月経ち帰国した際に私の顔を見て「どうしたの?おまえブスになったな」と突然言いました。
 
古谷 どういう意味ですか?interview10_04r.jpg
 
髙橋 香港にいた時には子育てしながら仕事もし、それでもニコニコ笑って楽しそうだったのに、なぜ?と。笑顔がなくなったという意味ですね。余裕がなかったと思います。スーザンのような人が日本では見つからないという話をしたら、30秒…その時は3分程度の長さに感じるほどの時間が流れ、夫がパっと目を開けて「産業を創ろう」と言いました。日本にないなら自分たちで創ればいい、と。そして2人で、家事代行サービス産業を創るために株式会社ベアーズをスタートしました。1999年の秋です。
 
安達 経験から生まれたビジネスだったのですね。創業してからのお話を聞かせていただけますか?
 
髙橋 創業した初めての年末大掃除シーズン、夫婦2人で手作りのチラシを計200枚配りました。初めてのお客さまからお電話をいただいた際には、一流企業のコールセンターのような応対をする、ということで2人でロールプレイングを重ねました。お客さまが増え、それでも「営業担当、男性の髙橋がお宅にお見積りに伺います」「作業員が決まりました。髙橋という者が行きます」「お宅、髙橋さんしかいないの?」というお客さまとの会話があったりして。2人で初めての年末を乗り越え、でも40万円しか売上がありませんでした。そしてある時夫から「出稼ぎに行ってくれ」と言われました。
 
安達 売上が上がったのに?interview10_04.jpg
 
髙橋 髙橋家としては40万円あれば十分なほど足ります。ですが私たちは最初から産業を創るということで始めましたから、雇用を増やしていかないといけません。会社の基礎を作り、そこで活躍してくれる人のお給料が第一優先です。それから3年間、夫は休暇と給料なし、私の出稼ぎの給料を生活費としていました。
 
古谷 髙橋さんがご家族を養うということですか?
 
髙橋 そうです。就職した企業の採用担当がとてもご理解のある方で、事情を話したら快諾してくださいました。そこで3年間、役員秘書と広報室長とIRを同時に担当しました。会社全体のことを理解することができ、非常に勉強になりました。鍛えられてバランスの良いビジネスライフを送れましたね。
 
古谷 バランス感覚が必要な仕事ですね。自分の軸がないとできない仕事と思います。そして3年後、専務としてベアーズに復帰されて今があるのですね。
 
安達 仕事をする上で大切にしていることは何ですか?interview10_07.jpg
 
髙橋 愛と感謝です。「愛」というと、やさしさや尊重と考える方が多いですがそれだけではなく、厳しい愛情も大事であるということです。厳しい愛情は、自分を信じ相手を信じているからこそ態度に表せることだと思います。このことで何かが壊れたことはありません。
 
安達 ポリシーを教えていただけますか?
 
髙橋 ベアーズという組織の中で私は「I am a mother=母」と思っています。伝えたいことは大きく分けて2つ。
1つめはさらに分けて3つあります。まず1-1は、同期や同僚、お取引先の方々には思いやりと感謝をもって接してほしい。1-2は、直属の上司がどのような方でも人間否定をしない。その方に足りないところがあるから私がここに配属されたと思うことです。1-3は、組織のトップである社長を愛すること。
2つめは、皆さんにはお母さまがいますよね?入社する会社にもお母さんがいるのです。私がどういう思いで新入社員を迎え入れるか、今後どういう思いで付き合っていこうと考えてのいるかも、すべて共通して伝えられるのは「I am a mother=母」のポリシーであることです。
 
安達 最後に、働く女性にメッセージをお願いします。
 
髙橋 まず1つめは、どのような人生を送りたいかを決める、そしてそのことに今日1日自分はどれだけ一生懸命向かったか?と自問自答しながら人生を歩んでもらえたら、と思います。お母さんが子どもに教えたいことは「ありがとうはきちんと言える」「あなたはあなた、友達と比べないの」ということです。大人になるとつい忘れてしまう。だから人と比べてしまいます。シンプルに自問自答して歩んでみてください。もう1つは、未来に感謝するという力を養ってほしいと思います。自分を愛し、認め、肯定しないとできないことかもしれません。自信がなくて謙遜してしまったとしてもダメだったらまた元に戻ればいい。チャレンジしたいことがあれば、まずは第一歩を踏み出しましょう。幸せは待ってても来ない、幸せは自分がつかみに行くものだ、ということをぜひお伝えしたいです。人生に起きる現実を受け止め、それは将来の自分への最高の美容液と思って望んでほしい。どんな日も感謝して人生まるごと愛してほしい、そう思っています。
 
古谷 髙橋さんの座右の銘「人生まるごと愛してる」素晴らしいです。
 
安達 自問自答しながら歩み、未来へ感謝し、幸せを取りに行ってほしいですね。本日はありがとうございました。
 

interview10_07r.jpg【対談を終えて】

「日本に家事代行サービス産業を創る」と宣言してから15年。海外経験を経て日本の生活環境で困ったことをヒントに起業した髙橋さんの起動力に感銘するばかりでした。現在、女性雇用活用を推進する各団体からの要請で委員を務める立場になり、ますますご活躍されています。これまでの苦労を糧に、家族を愛し、従業員を愛し「人生まるごと愛してる」。正に働く女性のロールモデルであると思いました。(安達)
 

今回の取材にご協力いただいた
株式会社ベアーズ 専務取締役 橋ゆき氏のプロフィール
  • 「女性の”愛する心”を応援します」をコンセプトに家事代行サービスやハウスクリーニングを手がける株式会社ベアーズ専務取締役として、主にマーケティング、広報、人財育成を担当。 同社は2010年「ハイ・サービス日本300選」受賞。2011年「勇気ある経営大賞」特別賞受賞。
  • 同社は2012年テレビ東京「カンブリア宮殿」に出演。 個人としても各種ビジネスコンテストの審査員や日本能率協会「経営・マーケティング戦略コース」のコメンテーター、日本の暮らし方研究家、家事研究家として活躍。座右の銘は「人生まるごと愛してる」。
◆株式会社ベアーズ
 
◆人生まるごと愛してるブログ
 
◆初書籍「可愛くなる家事」サンマーク出版より好評発売中
 
◆イタリアン・レストラン「L'OSTERIA」(今回ご協力いただいたお店)
 住所:東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル3階
 TEL:03-3475-1341
 営業時間:Lunch 12:00-14:00/Dinner&Bar 18:00-23:00(Last order 22:00)
 定休日:日曜