The 対談

「もがいてきた時間が自分を磨く」女性のキャリアアップを考える対談

「もがいてきた時間が自分を磨く」女性のキャリアアップを考える対談

「衣・食・住・美」のブランディングプロデュースを手がけるneu musik Inc.(ノイムジィーク)代表取締役 ファッションプロデューサー 五十嵐かほる氏と、当社 執行役員 コーポレート・コミュニケーション部長 安達あけるが、女性のキャリアアップについて、語り合いました。

◆掲載日: 2014年10月31日

安達 対談させていただく五十嵐かほるさんは、ファッションプロデューサーとして活躍されています。ご自身がスタイリストとしてアドバイスをするだけではなく、バランス感覚に優れたパーソナルスタイリストの育成に取り組んでいらっしゃいます。さまざまな分野でご活躍の五十嵐さんならではのお話を伺います。まずは、今までの経歴をお聞かせいただけますか?

interview11_04.png五十嵐 美術大学を卒業した後、全日本空輸株式会社に就職し、国際線客室乗務員(以下、CA)として勤務しました。もともとはニューヨーク州立ファッション工科大学に留学したくて、その資金を貯めるために就職しましたが、とても楽しく充実した毎日で7年間も勤務しました。その後、起業していた母が「香港に会社を立ち上げる」と言いまして、私は香港へ行き、ファッションプロデュースを1年程度手がけました。その後日本に戻り、結婚しました。この結婚前後からモデルを始める機会があり、その際に知り合った先生が企業やホテルで話し方などの研修を手がけている方で「あなたCAの経験があるのだから、一緒にやってみない?」と。その方のアシスタントとしてスタートし、その後はモデル、ファッションショーの司会、ナレーション、講師を経験しました。

安達 結婚してお子さまを育てながらですよね。

五十嵐 30歳で出産しましたが、じっとしていられない性格で。子どもを育てながら、オーディションを受けたりモデルの仕事をしていました。
 
安達 その後「ノイムジィーク」という会社を立ち上げられたのですね。
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五十嵐 「ノイムジィーク」は、企業のブランドづくりと店舗プロデュースおよび社員研修を含めたコンサルティングや、エグゼクティブや文化人などの個人向けにもブランディングを取り入れたイメージコンサルティングをおこなっています。2005年に店舗プロデューサーとして白金台にメンズセレクトショップ「ロゼスト」を立ち上げ、2007年には「ロゼスト東京ミッドタウン店」をオープンし、ウィメンズディレクションおよびオリジナルプロデュースをおこないました。
 
安達 ところで「ノイムジィーク」の意味は何ですか?
 
五十嵐  ドイツ語で「新しい音楽」という意味です。正しくは「ノイエ ムジィーク」ですが、造語で「ノイムジィーク」にしました。
 
安達 これまでさまざまなご経験をされていらっしゃいますね。2008年には、パーソナルスタイリストを養成するための協会(資格検定協会「パーソナルスタイリスト®協会(旧パーソナル・スタイリスト・イン・ジャパン協会)」)を立ち上げましたが、こちらについて教えていただけますか?
 
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五十嵐 過去に美術大学で培ってきたコーディネートというクリエイティブな部分と、CAの経験からビジネス的なサービスを融合したイメージです。本来180度の違いがある部分ですが、昨今では同じステージに上がる世の中になってきたと思います。パーソナルスタイリストは、洋服をコーディネートする、その人に合うものを一緒に買い物をする、または現在クローゼットで眠っている洋服をコーディネート次第でお似合いになる着こなしを知っていただく、といった診断をします。これにはコミュニケーション能力、つまりは、その人がどのようになりたいか、何が欲しいか、実はお持ちのコンプレックス、これらを上手に引き出すカウンセリング能力が必要になります。パーソナルスタイリストは洋服をスタイリングするだけではない、接客業であるところに一番重きをおいています。
 
安達 まさにビジネスとクリエイティブとの融合と思います。パーソナルスタイリストになるには、どのようなステップを踏んでいけば良いのですか?
 
五十嵐 今年4月11日に「株式会社パーソナルスタイリスト養成アカデミー」を立ち上げました。4級からスタートし、3級、2級、1級という資格があります。2級に合格した方は「パーソナルスタイリストⓇ」と名乗って活動することができます。そして、ファッションイベントで、iPadアプリ「ファッショニスタ診断」を操作する資格も取得することができます。1級は協会が開催する講座や大学・専門学校の講師として活動することができます。
 
安達 iPadアプリ「ファッショニスタ診断」は特許を取得されているのですよね。
 
五十嵐 取得しています。もともとiPadアプリを開発した理由は、小さい子どもを抱えて働くファッション好きなママたちが、少し空いた時間で何か仕事ができるようにしたいと思ったためです。
 
安達 ひとつの在宅ワークの在り方ですね。仕事に復職したいけれど保育園が空いていない、預けられず育児休暇を延ばさざるを得ないという女性が多いと思います。仕事をするうえで大切にしていること、ポリシーを教えてください。
 
五十嵐 「そこに愛はあるのか」ということを大切にしています。例えば、パーソナルスタイリストの立場で考えた場合に、あなたにはこの洋服が似合うのよ、このコーディネートが良いのよ、とレクチャーする人の一方的な判断ではなく、その人はどのようになりたいか、どの洋服を着たら幸せを感じるだろうかと、その「人」を大事に、愛を持って接したい。そして、レクチャーする人も幸せであってほしい。「物ありき」ではなく「人ありき」です。洋服を着るのは「人」ですから。
 
安達 双方向が良いコミュニケーションを取って「そこに愛はあるのか」ということを確認しながら仕事をしていく、ということですね。最後になりますが、女性のキャリアアップにつながるメッセージをお願いします。
 
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五十嵐 これまでの経験をお話ししていると、私の経験は良いことばかりが見えるかもしれませんね。でも実は、たくさんもがいてきました。ファッションプロデュースは形のないものです。この品物はいくらです、と物をご覧になり購入していただくことではありませんから、なかなか難しく、内容をご理解いただくまで時間がかかりました。最近は、すぐに結果を求める人が多いと感じます。すぐこうなりたい、すぐ達成したい、と。でも、もがいているその時間が自分を磨く時間になっていきます。ある程度時間をかけてリアルな実力をつけ、もがいているうちにさまざまなことがきっかけで良い方向に進んでいくと思います。だから、あきらめないで前進してほしい。ママになって育児で大変な時も、そんな状況を理解してくれる先輩は必ずいますよ、と伝えたいです。
 
安達 「もがいてきた時間が自分を磨く」素晴らしい言葉です。時間がかかったとしても、その時間が自分の力になるのですね。本日はありがとうございました。
 
interview11_07r.png【対談を終えて】
 
五十嵐さんが全日本空輸株式会社に入社された80年代は、女性の働くフィールドが多岐に渡り、90年代以降は、女性パイオニアが先陣を切ったお陰でそのパワーが開花したと感じます。CAの仕事を潔く退職し、ファッションを中心にさまざまな領域の仕事に携わり、辿り着いたのが「人ありき」の重要性。今回取材させていただいて、スタイリストとして美しさだけをサポートするのではなく、そこに幸せと愛はあるかを大切にし、子育てをしている女性はもちろん、働く女性を育成するために取り組んでいる、五十嵐さんのしなやかさを実感しました。  
 
 

今回の取材にご協力いただいた
neu musik Inc.(ノイムジィーク)代表取締役 ファッションプロデューサー 五十嵐かほる氏のプロフィール
  • 武蔵野美術大学短期大学部 空間デザイン科卒。全日本空輸株式会社に国際線客室乗務員として勤務し、主に、ファーストクラス、VIPフライト、外資航空会社との共同渡航を担当する。
  • モデル、ファッションショーやメディアレセプション・ビジネスセミナーなどの司会、非常勤講師、アパレル・化粧品業界でのPR・MD・香港でのファッションプロデュースおよび店舗プロデュースなどを経て、現在に至る。
  • 資格検定協会「パーソナルスタイリストⓇ協会」代表理事(2008年設立)
  • 2014年4月 株式会社パーソナルスタイリストⓇ養成アカデミー設立
  • 著書:「あなたの魅力を限界まで引き出す技術」明日香出版社
       「新入社員に贈る一冊」日本経団連出版編に寄稿
  • 執筆:東洋経済新報社「THINK!」、商業界「ファッション販売」連載掲載、電通報光文社「STORY」、文藝春秋「CREA」ほか
  • iPadアプリケーションソフト「ファッショニスタ診断」(特許 第5411092号)開発・特許取得
  • mixiアプリ「ファッションマイスター診断」制作&監修(現在16万人登録)
◆ノイムジィーク有限会社
 
◆パーソナルスタイリストⓇ協会
 
◆iPadアプリ「ファッショニスタ診断」