The 対談

「チャンスは来た瞬間に必ずつかむ」女性のキャリアアップを考える対談

「チャンスは来た瞬間に必ずつかむ」女性のキャリアアップを考える対談
藤田観光株式会社 ホテル椿山荘東京 宿泊・料飲セールス課長 原彩氏と、当社 執行役員 コーポレートサービス本部 広報・秘書部長 安達あけるが、女性のキャリアアップについて、語り合いました。
 
◆掲載日: 2015年4月30日
安達 原さんは、新卒で藤田観光へ入社されていらっしゃいますが、入社の動機を教えていただけますか?
 
 学生時代から人と接する仕事をしたいと思っていました。「モノではなく人が中心になる仕事」「世界とのつながりがある仕事」「人を幸せにすることができる仕事」この3つを全部やりたいと考えていたこともあり、旅行会社やホテルといったホスピタリティ産業に興味がありました。いろいろな会社を訪問して、最終的に藤田観光という会社の雰囲気が好きで入社しました。
 
安達 入社されて、最初に配属されたのはどちらですか?
 
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 レストラン課です。ホテルのロビーにあるラウンジで、初めの1カ月半はお客さまから見えないバックヤードで毎日ひたすら紅茶を淹れていました。その紅茶をお客さまにお出しするのは先輩の役割で、私はとにかく裏で作業をするということがしばらく続きました。
 
安達 入社前に抱いていた夢と現実とのギャップは感じましたか?
 
 今思えば裏方で経験を積むことは当たり前ですが、その時は「接客がしたくて入社したのに…」と不満に思っていました。1カ月半が過ぎてから表に出してもらえたときは「ようやくお客さまと接することができる!」という思いでとても嬉しかったです。その後、宿泊課のフロントに異動になりました。
 
安達 カウンター越しにお客さまとお話をするフロントを実際に経験していかがでしたか?
 
 いろいろなお客さまがいらっしゃるので大変でしたが、それ以上に嬉しいことがたくさんありました。1103号室というお部屋にご夫婦のお客さまをご案内しようとした際、ふと見ると奥さまは妊娠されてお腹が大きかったので、私は「今日のお部屋は“いいお産”のお部屋ですよ」と何気なく語呂合わせを言いました。後日、そのお客さまから「あの時、フロントの女性が『いいお産のお部屋』と言ってくれたおかげで、あの滞在が、一生忘れられない思い出深いものになりました」というお手紙をいただきました。自分が発した言葉ひとつでこんなに喜んでくださる方がいることに感激しましたし、自分が選んだ仕事は、1日に何人ものお客さまを幸せな気持ちにする機会がたくさんある素晴らしい仕事なのだとあらためて思いました。
 
安達 フロントのお仕事はどのくらいの期間されていたのですか?
 
 4年くらいです。業務をひと通りこなせるようになり後輩もできた頃、フロントの仕事はある程度やりきったような気がして、他部署で新しい仕事にチャレンジしたくなりました。早速上司に異動希望を出したところ「今の自分のレベルで、他の部署の仕事が務まると本気で思っているのか?他部署から欲しいと言われる人間になるよう考えながら働いて、1年後にまた相談しなさい」と一蹴されました。背中を押してくれるものとばかり思っていたのでショックでしたが、一番信頼していた上司の言葉でしたので、1年間また同じ部署でがんばろうと思い心を入れ替えて働きました。すると、そのわずか3カ月後に、希望していたコンファレンスサービス課というコーディネート部門への異動が決まりました。当時は気が付きませんでしたが、上司は私の慢心を見抜いていたのだと思います。そして、私のために敢えて厳しく助言してくれたのだと感謝しています。
 
安達 厳しく助言する上司、それに応える部下、とても素晴らしい信頼関係ですね。異動先のコーディネート部門ではどのような仕事をされていたのですか?
 
 フロントでは主に一個人のお客さまと接していましたが、今度は法人のお客さまとの仕事になりました。営業担当が受注してきた企業の会議や宴会について、幹事さまとレイアウトや食事メニューなどの細かい打ち合わせをおこない、ホテルの各部署に指示・通達して具現化していく業務です。
 
安達 法人のお客さまとなると、難易度が高い要求も多かったのではないですか?
 
 ある外国のお客さまからガーデンパーティーを承った時のことです。残念ながら当日は朝から雨模様だったため、事前の打ち合わせ通り、会場を室内に変更して準備を進めていました。しかし、開宴20分前に雨が止み、お客さまが「やはりどうしても外でやりたい」とおっしゃったのです。雨がまたいつ降り出すかわかりませんし、準備時間もほとんどありません。でも、ホテル椿山荘東京ならではの趣きある庭園でパーティーをしたいと強く望まれていたお客さまなので、なんとかしてさしあげたいと思い、とにかくホテル中からスタッフをかき集め、皆に手伝ってもらってなんとか開宴時間に間に合わせることができました。お客さまが喜んでくださっている姿を、駆けつけてくれたたくさんのスタッフと一緒に見た時は、なんともいえない充実した気持ちになりました。
 
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安達 コーディネーターとしての腕の見せ所ですね。
 
 コーディネーターは、お客さまとホテルの現場との間に立つ仕事です。お客さまの望みをすべて叶えようとすると、そのしわ寄せが現場のスタッフにいってしまうことがあります。そこを上手くコーディネートすることは難しいけれども醍醐味でもあります。現場のスタッフと喧嘩をしつつも楽しく仕事をしました。お陰でたくさんの人と知り合うことができ、この時の社内ネットワークは今でも役立っています。
 
安達 その後、セールス課に異動し、営業職になられたのですね。
 
原 6年のコーディネーター経験を活かして次のステップに行ってみないか、ということで、内勤から外勤への機会をいただくことになりました。担当は主に海外市場と外資系企業でした。お陰さまでホテル椿山荘東京は、ミシュランガイド東京2015で5レッドパビリオン(最高ランク)の評価をいただいていますが、同じカテゴリーにある他のホテルはすべてグローバルチェーンで、国内資本のホテルは当ホテルだけなのです。外国人にはまだまだ認知されておらず苦労も多かったのですが、グローバルサービスに日本のおもてなしを融合させた当ホテルを世界に発信していく営業活動はとてもやりがいがありました。退職なさって4年経つお客さまから「原さんと久しぶりに食事がしたい」と連絡いただけるなど、社と社を超えたお付き合いもあり、本当にありがたい仕事だと思いました。
 
安達 営業職をされている間に管理職試験に合格されたのですよね。管理職試験を受ける方は、ある一定の評価基準をクリアされている必要があると伺いました。管理職試験を受けないかというオファーがあってから、気持ちの変化はありましたか?
 
 オファーがあったのは、営業先のお客さまや他ホテルの営業部門からお誘いを受けるようになり、今後の自分のキャリアを考えるようになった頃でした。それまでは与えられた仕事を一生懸命しつつも、自分中心な考え方でした。しかし、管理職試験の話をいただいてから「自分の会社」を意識するようになりました。ちょっと大げさですけれど「自分をここまで育ててくれたこの会社に恩返しをしたい」という風に考え方が変わってきたのです。
 
安達 外部から評価をされるのは優秀な人材である証だと思いますが、そのタイミングで会社から管理職試験のオファーが来たというのはすごいタイミングですね。
 
 どのステップでもそうですが、私の心が揺れた時に異動や管理職試験などの話があるので、会社は私を良く見てくれているなと感謝しています。私は上司とタイミングにとても恵まれていると感じます。
 
安達 3カ月前に新設された部署で課長になられたということですが、どのような仕事をされているのですか?
 
  宿泊・料飲セールス課といって、より多くの個人のお客さまに当ホテルへお越しいただくことを目的としたセールス部門です。例えば、旅行会社のパンフレットの中から当ホテルを選んでいただくための仕掛けをするとか、Web上で当ホテルの情報を多くの海外の方に見ていただけるようにするとか、レストランのメニューにどういうものがあったら喜んでいただけるかなどを考え、セールス活動をおこなっています。ターゲットとなる世代も国籍もさまざまなので、仕事の幅はとても広いです。部署メンバーは私より経験豊富な方たちばかりで、教えてもらうことがたくさんあり学習の日々ですね。内示を受けた時は不安でしたが「案ずるより産むが易し」で、今では周りにフォローしていただきつつ、少しずつではありますが自分の成長を感じながら働いています。
 
安達 働く上で大切にしていることはありますか?
 
 「楽しく働く」「周りの人への感謝を忘れない」「常にベストを尽くす」ですね。ホテルの仕事というのは、人を幸せにする仕事。自分が楽しんでいなければ、お客さまを笑顔にはできません。そして私が楽しく働けているのは、周りの人が支えてくださっているからです。だからこそ、常に自分なりのベストを尽くさなくてはと思っています。
 
安達 最後に、これからキャリアを積んでいきたい、または、社会人をスタートする女性に対して、メッセージをお願いできますか?
 
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 まずは目の前にある仕事を一生懸命やること。それが大前提です。それと同時に、目の前にはないもの、自分にとって一見関係のなさそうなことにも広く興味・関心を持って過ごすことが大事だと思います。私自身、これまで目の前の仕事を夢中でやってきましたが、もう少し広い視野で物事を考えていたら、もっと良い仕事ができたのではないか?という思いがあります。そのためには、他業界の人たちとネットワークを作ってたくさん話を聞く、新しい趣味を見つける、など何でも良いのですが、常に自分のアンテナを広く張っておくということを、私自身も心掛けていきたいです。
それから、与えられたチャンスは必ずつかむということ。実は、私は人前で話すことがとても苦手で、今回のような取材も以前はお断りしていました。ですが、尊敬する方から「チャンスは誰にでも来ないし、来たチャンスはその瞬間につかまないともう二度と来ないかもしれない」と言われて、その通りだと思いまして。今は、いただいたお話は苦手なことでもチャンスと捉えてお引き受けするようにしています。失敗しても貴重な経験となりますし、勇気を出してチャレンジすることで、今回安達さんとお近づきになれたように、素晴らしい出会いにも巡り合えます。
 
安達 仕事を一生懸命やりながら、自分にとって新しいことにも興味を持つ。苦手なことでも与えられたチャンスをつかむ。失敗を恐れずチャレンジしてみることが自身の成長につながっていくということですね。本日はありがとうございました。
 
 
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【対談を終えて】
 
これまでのゲストとはまた違う業界で働く原さまのお話は、とても新鮮でした。迷いや戸惑いの最中でもチャンスを見逃さず取りに行く、これからの次世代を担う女性管理職としてエポックメーキングを起こしてくれる可能性を強く感じました。また、お客さまへの要求に応えるべく、全従業員が部署の垣根を越えてあちこちから駆けつける、そのおもてなし体制には非常に胸を打たれました。やはり、世界最高峰ランクのホテルは違いますね。当社はICT業界ではあるもののサービス業という意味では同業ですので、キラッと光るプロのノウハウをご教授いただきたいと思いました。本当にありがとうございました。(安達)
 
 
 
 

今回の取材にご協力いただいた
藤田観光株式会社 ホテル椿山荘東京 宿泊・料飲セールス課長 原彩氏のプロフィール
  • 1997年藤田東京 観光株式会社に入社、フォーシーズンズホテル椿山荘 東京(現:ホテル椿山荘東京)にてレストラン課ロビーラウンジ、宿泊課フロントデスク、販売部コーディネート課、販売部セールス課を経て、2015年1月より宿泊・料飲セールス課長、現在に至る。

ホテル椿山荘東京 http://hotel-chinzanso-tokyo.jp/
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所在地 東京都文京区関口2-10-8
交通 JR「目白」駅下車、都バス約10分(「ホテル椿山荘東京前」下車)
東京メトロ有楽町線「江戸川橋」駅 徒歩約10分
アクセス http://hotel-chinzanso-tokyo.jp/access/