The 対談

「人に喜んでもらうことが好き」女性のキャリアアップを考える対談

「人に喜んでもらうことが好き」女性のキャリアアップを考える対談
独立系システムインテグレーターの株式会社クレスコ 総務人事部 社長秘書 梶原美智子氏と、当社 執行役員  広報・秘書部長 安達あけるが、女性のキャリアアップについて、語り合いました。
 
◆掲載日: 2015年7月31日

安達 これまでの経歴をお聞かせいただけますか?

梶原 大学を卒業してから、SE志望でIT専門の商社に入社しました。当時は、入社後に研修を受けて、技術を身につけるというSE志望の方が多く、女性も男性と同じように資格を持って働けるということが理由のひとつでした。どこに行っても通用するように手に職をつけたかったのです。入社時は同期が約800名おり、四大卒の場合、男女問わず、基本的に営業かSEの採用でした。その中で総務や企画広報など、若干名の本部配属があると聞いていたのですが、その若干名に選ばれて新卒採用担当になりました。その半年後に「社長秘書にどうか」という打診があり、とても驚きました。私は「良い」と思ったことはストレートに伝えたり、考えるより先に行動するタイプです。確か、秘書になる少し前に会社に対しての意識調査のようなものがあり、私は、それに「ここはおかしい、もっとこうするべきだ」とたくさん意見していたのです。当時の上司も「話はあったけど『梶原は秘書に向いていません』って断っておいた」と言っていましたし、自分でも秘書になることはないなと思っていました。実際に秘書に異動となり、それまでたどたどしい学生の電話を受けていたのが、急にVIPからの電話を受けることになり、初めは本当に緊張しました。そんな向いていないと思っていた秘書を、それから20年近くも続けるとは思っていませんでした。

安達 IT専門商社の社長秘書になられて20年。いろいろな出来事があったと思いますが、印象に残っていることは何ですか?

interview14_06.png梶原 時代の流れとともに取り扱う商品・サービスが急速に増えていきました。それまで、コピー機やオフィスコンピューター、OA機器が中心でしたが、その後、パソコン、ソフトウエアなどが加わり、インターネットの普及でWeb系の事業も加わりました。当然、社長を訪れる企業のお客さまも年々様変わりしていきました。会社の業態がコンピューター全般だけではなく、それにまつわるサービスになり、まさにIT企業に変わっていった過渡期という感じでしょうか。当時を振り返ると、今やレジェンドと呼ばれる方々が商談にお見えになっていましたので、ご挨拶やお話をさせていただいたりしました。直接の面識ではないにしても、普通であればお会いできない大変な企業トップの方々と会えたおかげで、時代の空気感を感じることができたというか、日常でビジネスの歴史が身に付きました。本当に得難い経験をしたと思っています。

安達 その後転職されますが、きっかけは何ですか?

梶原 不注意からケガをしまして50日余り入院したのがきっかけのひとつです。秘書として20年近く夢中で仕事をしてきて、長い休みを取ったことがなかったので、入院期間は自分の人生を見つめ直す良い機会となりました。私は社会人としてベテランの域になったとはいえ、思えば1社しか知りません。その会社でベテランでも他社ではどうなのか、秘書以外で自分は何ができて何が通用するのか、と思ったところもあり、退職しました。とは言っても、ケガが完治して、自由に街中を動けるようになり、仕事にも復帰できるという自信がつくまでに、結局1年以上かかりました。新卒以来、初めての求職活動ですし、社会人としてのブランクもあり、どう動けばいいのかわからず最初は不安でしたが、求人情報サイトを見たり、派遣会社やハローワークに行くようになりました。そこで40歳前後の女性の転職が厳しいという現実を知ります。キャリア形成のために35歳くらいまでの人を募集しているという求人が多くありましたし、自分は何を売りにしていいのかわからず、新しいことをしようとしてもなかなか難しいなと思いました。そこで、スポットでもいいので経験したことのある人事や総務のお仕事を中心に派遣会社で探したところ、人事評価の仕事や秘書兼営業事務などの仕事をいただきました。それぞれある程度お仕事を任せていただいたので、自分としては前向きな気持ちで派遣先の職場の方に対して、積極的に業務の改善提案をしてみましたが、余計なことを言っているのかも知れないと感じる瞬間もあり、派遣社員としての立ち位置というものがわからず大変苦労しました。一方で、私が提案することを喜んでくださって、長期契約のお話をいただいたりする職場もありました。さまざまな仕事を経験することで、また秘書として正社員で働きたいという気持ちになり、秘書業務の紹介予定派遣を第一優先として複数の派遣会社に登録したところ、現在のお仕事をいただきました。

interview14_04.png安達 とても良いタイミングですね。

梶原 本当にそう思いました。さまざまな仕事を経験することで、秘書というやりたい仕事ができるありがたさを感じましたし、正社員として働いていた環境はとても恵まれていたのだと心から理解できました。そして、一番の収穫は、自分が仕事をする上でもっとも大切にしていることがわかりました。それは「自分のためではなく、会社の上司や仲間、取引先の方など、誰かの役に立つために仕事をしたい。そのために私は自分のスキルを磨くのだ」ということでした。この会社が大好きだから、会社のために自分は何ができるか考える。誰かの手助けになることを自分で考えてやるタイプだなと認識することができました。そんな私の「自分自身が活きる働き方」を考えた時、正社員で秘書をやるのが自分としては一番幸せなことだと思ったのです。

安達 そのほかに大切にしていることはありますか?

梶原 自分に与えられた仕事の先に何があり、この仕事によって会社にどんな影響が生まれるのかを考えながら仕事をしています。例えば、社長秘書として面談日を調整したり、お見えになった方の送迎をする場合にも「どういう取引先の方がお見えになって、会社はどんなことをしようとしているのか」を考え、それを知るために情報を集め必要なことを調べます。身近なことでいえば、誕生日の友人を喜ばせたいというのと同じ発想です。「喜んでもらうためにはどうしたらいいだろう」「友人の好きなものは何だろう」と考える。何か新しい仕事があったら、教えてもらうだけではなく、自分でとことん考えることが大事だと思います。

安達 最後に働く女性へのメッセージをお願いします。

interview14_03.png梶原 自分が思い描いたとおりの道に進めていない方がいると思いますが、その場を楽しくするもしないも全部自分次第だと思います。私は、最初SEを志望していましたが秘書という仕事を与えられました。ケガも自分で望んだことではないし、その後起こったことも自分が希望したことばかりではありませんでした。一時は、私も絶望したり後ろ向きになったりしたこともありましたが、幸い今は、自分を活かすためにはどうしたら良いか、考えながら仕事をする場を与えてもらえています。今は思うとおりではなくても、それを思うとおりに変えるためにどうしたらいいのかと楽しみながら考え、行動することで環境は変わっていくと思います。その行動は必ず誰かが見てくれている。どこかに理解してくれる人はいると思います。私は人に喜んでもらうのが好きで、多分、余計なおせっかいをするタイプなのですね。仕事に対しても同様で、いつも「何かできることはないか、貢献できないかな」と考えて仕事をしています。

安達 「人に喜んでもらうことが好き」「誰かの役に立つために仕事をしたい」という梶原さんにとって、きっと秘書は天職なのですね。本日はありがとうございました。

 
【対談を終えて】
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始終、人懐っこい笑顔の中に、凛とした姿勢で1つひとつ丁寧にお話しいただく姿から、ベテラン秘書の風格を感じました。人のお世話をするのが好き、楽しませる、喜んでもらいたい、それが嬉しい。そのブレることのない先難後獲の姿勢に大変感銘を受けました。転職期は何かとご苦労されたようですが、それを上手に乗り越え、キャリアアップに変え、そんな梶原さんが辿り着いた秘書という仕事はきっと天職なのでしょう。今回は、ベテラン秘書が明かすキャリアアップの裏側を垣間見ることができ、この対談をご覧いただいた女性の方々にとって励みになると思いました。
 
 
 
 
 

今回の取材にご協力いただいた
株式会社クレスコ 総務人事部 社長秘書 梶原美智子氏のプロフィール
  • 立教大学を卒業後、新卒でIT専門商社に入社。
    創業社長の秘書を担当。
    2011年に退職後、1年間のブランクを経て、2012年より派遣社員として社会復帰。
    2014年3月に、株式会社クレスコに入社、社長秘書として現在に至る。
◆株式会社クレスコ